Edie

エルヴィスのEdieのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
5.0
拍手!!!

幼少期から両親の影響で曲は聴いていましたし、中学の時にNHKで彼のドキュメンタリーが放送され、劇中の女性ファンのようにマイアイドルイズエルヴィス期もありましたが笑、これまでの自伝はとても表面的だったと分かりました。

彼のことを多少は知っていると思っていましたが、何にも知りませんでした。だって兵役だって、美談として語られてましたし、晩年も、ビートルズなどの登場で、ベガスで歌うしかない時代遅れの歌手になってしまったように語られてました。それで過食症になったと。

実際は、彼には確固たる信念や、沢山の溢れる先鋭的なアイデアがあるのに、お金儲け優先のショービズ界に囚われて思うように才能を発揮できず苦悩していたんですね涙

彼は、容姿や歌唱力、パフォーマンスに優れた”歌手”ではなく、時代の先をゆく正真正銘のアーティストでした。

時代に翻弄され、マネージャー(大佐)に翻弄され、本当の才能を、十分披露できずに42歳という若さでこの世を去ってしまったエルヴィス。彼のスター性や才能、進歩的な考えに驚き、魅了されつつ、彼の才能を正しくプロデュースしようとする大人が周りにいない(いても立場が弱い)ことが、終始悲哀を誘います。パパでさえビジネス優先。彼を本当に理解していたのは、ママだったのだな、と。ママなら、世界に出なさい、借金なんてなんとかなる、と背中を押してくれたはず。

プリシラも常に本質を捉えていましたが、余りにも立場が弱い。彼がもっと彼女に耳を傾けていたら、、、。エルヴィスにいつも彼の人生において大切なことを伝えています。彼女がもっと鬼嫁だったら、、、。

そして、カーネル!彼がいなければ、伝説のスーパースターにはなれなかったかもしれませんが、彼のせいで、音楽性を十分に発揮できず、ショービズに食われる形になってしまったのは明らかです。劇中彼はエルヴィスが愛に囚われた、と言いますが、都合の良い解釈と感じました。が確かに、マニュピレイターな彼は、エルヴィスの弱みを巧みに使い、彼がいないとダメだと思わせる。二度手を切るチャンスがあったのに、その度に情や家族を持ち出し繋ぎ止める。彼の優しさや愛情深さを利用していましたね。はぁ。

(ちなみに大佐のことは、話が進むにつれ、映画アマデウスのサリエリ並みに死ね!と思いました笑笑。公私共に良い人代表トムハンクスの面影皆無。狡猾な大佐を演じ切ってましたね。やっぱりトムハンクスは凄い俳優でした。)

一度目のチャンスで大佐と手を切っていたら、彼の才能を正しく理解するプロデューサーと、ワールドツアーに出て、新しいインスピレーションを得たでしょう。二度目で手を切っていたら、プリシラとよりを戻し、自分が本当に好きな音楽をしながら、家族とショービズのバランスが取れるようになってたかもしれません。ドラッグやらアルコールやらの問題があっても、ジョニーキャッシュのように長生きし、晩年まで音楽を続けていたかもしれない。数億の借金だって、大人気なんだからラスベガスに囚われずとも数年で返せたはず。だって、彼が評価されるのはいつだって、彼自身のアイデアだったのだから。彼が信念を貫き、生き様を披露すると、メディアも人々も賞賛し、熱狂する。カーネルのアイデアは常に彼を安っぽい時代遅れのアイドル歌手に貶めていました。それが彼を苦しめる。本当に悪循環涙。

ビートルズもエルヴィス同様デビュー後すぐ熱狂に包まれましたが、そこは4人。力を合わせて一抜けして、自分たちがやりたいことを始めましたよね。ソロは大変だな。

と、ここまでエルヴィスについて話してきましたが、監督のバスラーマンの演出が素晴らしい。こんなにも彼のスタイルと内容がバシッとハマった映画はなかったんじゃないでしょうか。エルヴィスのラストパフォーマンスの、アンチェインドメモリーの編集には、心底痺れました。全身全霊歌に身を捧げる。命懸けのパフォーマンスとはあの事ですね。あぁかっこいい涙。

(42歳なんてまだまだヒョッ子。ゼイゼイ息しながら話す姿は本当に死を目の前にした老人のよう。でもファンの声援に微笑む彼の表情には確かにマイアイドルエルヴィスの面影がはっきりと見て取れるからまた悲しい涙。)

そして、なんといっても、私をここまでのめり込ませたのは、エルヴィス役のオースティンバトラーに他なりません。

若かれしエルヴィスの演技もすごいけど、年追うごとのパワフルなパフォーマンスは、もぉただのエルヴィス。エルヴィスにしかみえない。化け物俳優。一気にファンになりました!ハリウッドに集まる俳優の才能は本当に底なし沼ですね。恐ろしい。

ロックと言えばビートルズ、だった私は、エルヴィスのキングオブロックの所以なんかは、あまりピンと来ていませんでしたが、映画を観て完全に理解しました。

圧巻の演技と、エルヴィス本人が持つ、エネルギーに圧倒され、エンドロールは自然と拍手してました。

なぜバズラーマンがこの映画を作ったのか不思議でしたが、監督は、イメージ先行で、かつてのスター、位の認識の私のような後追い世代の人、また、当時アイドルとしてファンだった人、当時バッシングした人、全く知らない若い世代、全ての人に、彼の本当の魅力と、偉大さを伝えたかったんだ、と思いました。

エルヴィスかっこいいぜ。ヒュー笑

ちなみに、オースティンバトラーはもちろんイケメンですが、エンドロールに登場するリアルヤングエルヴィスのイケメン具合には、彼と2人で驚愕。ちょっとまってイケメン過ぎる!と、停止したり巻き戻したり、何度も見直してしまいました笑

あぁ、劇場行かなかったの後悔。(そればっか。)

最初から最後まで目が離せない。
最高!
本当に観てよかったです。

エルヴィスが好きな人、知らない人、老若男女全ての人におすすめできます。
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