わらびもち

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!のわらびもちのレビュー・感想・評価

4.5
「時間」
「ニューヨーク」
「恐れか愛か」

アンドリューガーフィルド、今回もやってくれました。キャラと歌声が素晴らしいです!

新進気鋭なミュージカルなのですが、地に足がついていて、主人公や周りの人達との関係も現実的で共感しやすかったです。

幼馴染のマイケルとの関係、恋人スーザンとの関係、また憧れのアーティスト、かつメンターとの関係、どのように主人公の内側に影響を与えてるのかが歌と共に語られていきます。

ストーリーは1990年に30歳を迎えるニューヨークで夢を追いかける青年、ジョナサンラーソン。20代が終わるまでになんとかして成功を収めようと必死に随分前から構想しているミュージカル「スーパービア」のワークショップに取り組む。自分のキャリア、友人、恋人、どれも大事なのに時間が足りない。ニューヨークという場所も目紛しく時間やファッションが過ぎていく。
20代の若気の至りと、これから迎えようとする30代への焦りに挟まれる主人公。
身の回りで見聞きしたものをメモに取ってアイデアを集め、お金がないから紹介された仕事をするがちょっとやらかしてしまう、ムーンダンスダイナーでバイトをするという日々を過ごしながら常に時間に追われる生活。

幼馴染のマイケルとの関係で、アーティストとしての成功を夢見る主人公と、夢を半ば諦めて普通に良い企業に就職して安定した生活を送る友達という2人の間のギャップが現実的で切なかったです。
当時のエイズの流行に伴う同性愛者の扱いも時代背景にあることも考えさせられました。

また恋人のスーザンとの関係では時間のなさ(本当は時間に囚われているだけ)によって歯車が狂い始める。互いのキャリアを尊重するための必然的な犠牲が払われたことと、仕事と恋愛が両立できなかったことが悲しかったです。
(ここはちょっとアメスパを思い起こしてしまいました。笑 あとショーで席を予約しているところもララランドと少し似ているなと感じました。これはたまたまだと思いますが笑)

実話に基づいてたのは観るまで知らなかったです。最後のエンドクレジットをみてその再現度には驚きました。

ヴァネッサハジェンズには歌声聴いてから初めて気付きました(笑)ハイスクールミュージカルで育ってきただけあると思いながら、彼女の歌声はやっぱり唯一無二だと思いました。