『イン・ザ・ハイツ』『ハミルトン』などのミュージカルを手掛ける
リン=マニュエル・ミランダの初長編監督デビュー作。
ミュージカル『RENT』の楽曲の作詞作曲、台本も手掛けたミュージカル作曲家ジョナサン・ラーソンによる、同名の自伝ミュージカルを元に映画化。
“tick,tick…”時計の針が刻む針音。
「30/90」♪今は1990年、そして僕は30歳になろうとしている。
“…BOOM!” 爆破する生。
死ぬ前から死を心に刻み、残りの生を最大限に燃焼させるべき。
1990年のニューヨーク。
ウェイターをしながら、ミュージカル界でのブレイクを狙い、創作活動を続けるジョン。
彼は公演を目前に控え、プレッシャーや焦りを感じていた…
恋人スーザン(アレクサンドラ・シップ)はニューヨークを出て芸術活動を広げることを夢見て
親友マイケル(ロビン・デ・ヘスス)は夢を諦め、経済的な安定を求めている。
一方、芸術界ではAIDSの蔓延で破滅的な影響を受けていた。
人生の岐路
誰もが避けて通れない道
残された時間で彼は一体何をすべきなのか…?
ジョン演じるアンドリュー・ガーフィールド。
物語は観客席に語り掛けるという構造。
ガーフィールドの華奢な身体と全身を使ったしなやかで鷹揚な動きがまるでオーラのよう。
35歳で急死する彼が死後発表しているかのような神聖な雰囲気を生み出す。
ガーフィールドは『エンジェルス・イン・アメリカ』という舞台で、AIDSで余命わずかのゲイのドラァグクイーンを演じている。
AIDSやミュージカルとの関わりと繋がりは既にあったようだ。
彼の演技にはいつも驚かされる。
街に出てのミュージカルとの緩急も良い。
カフェでの「SUNDAY」♪はワクワクした。
『イン・ザ・ハイツ』ではピラグア売りのミランダ。遊び心もふんだんにあり、七転八倒の主人公の表情が楽しくもあり。
何をすべきか?
『RENT』と同じくこの問いは
誰もが通り、誰もが避けられない普遍的なテーマ。
これも「今を生きる大切さ」が通底のメッセージとしてあるが
こちらはそれよりもう少し青い情熱を感じる。
「今すべきことをしろ」
それは「今の自分にとって正しいこと」でなければならない。
だが結局、
ミュージカル作曲家という生きる使命を決めた時点で
やることはきっと変わらない。
正しさも根本的には。
今もこれからもずっと。
その過程には葛藤が生じることもある。
変わらないことへの恐怖や
ルーティンになってはいないかという疑念。
重なる疲労。認めてもらえなかったり、思い通りにいかない不安。
だから短い人生は見ていて辛い。
が、常に死を見据えていれば
爆発を逸することはないかもしれない。
ガーフィールドは撮影開始前、母親を病気で喪った。
「悲しみは乗りこえるまで続くもの
長く生きたとしても十分な時間を一緒に過ごすことはできない」
これほどの演技を魅せられたことがよくわかった。
「Louder Than Words」♪に魂が震える。
2021レビュー#190
2021鑑賞No.424
この後はU-NEXTで『イン・ザ・ハイツ』がもうレンタルされていることを知り、
早速2回目鑑賞♪
劇場案件なのは言わずもがな、家での利点はただ一点ノリノリで観られること💃(笑)2回目だと曲も知ってる🎤
母がミュージカル好きなので、声をかけて本作からイン・ザ・ハイツまで一緒に連日鑑賞♬
終わったら二人まとめてぐったり(笑)