西木寸

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!の西木寸のレビュー・感想・評価

4.4
今年ベスト級。

「RENT」生みの親ジョナサン・ラーソンによる自身の30歳目前を捉えた同名自伝的ミュージカルを元にしつつ、そのミュージカルを演じる30歳後のジョナサン自身まで映す事、そして「35歳で亡くなる」事実を持って、超多層的に刹那に生きた彼を描く。

元のミュージカルの中身であり「時間」に焦る30歳目前の姿。
自身の過去を俯瞰する形でミュージカルを演じる30歳後の姿。
その後、「RENT」の成功を見守る事なく、この世を去るという事実。
ある種矛盾した「時間」に対する感情が沸き、めちゃくちゃ複雑で掻き乱される。

「夢」と「大切な人々」の交差のさせ方が良い。必ずしも同じ道を歩める訳ではないが、ジョナサンが自分の進むべき道へ覚悟を決め歩み出す時は、必ず「大切な人々」と向き合った時だし、彼/彼女はきっかけとして記憶に残り続ける。『ラ・ラ・ランド』のようにロマンチック。
西木寸

西木寸