"心揺さぶる"とはこのことだ。
素晴らしい作品だった。
大事な場面で急に歌い出すミュージカルというジャンルをずるいと思っている。劇場で舞台を観る人達に向けられた表現方法だからだ。
しかし、この作品は、それを言う隙も与えないほどの綿密な構成や演出で、ダイナミックで繊細に、ドラマティックでシリアスな人生を描いている。
徹夜明けの朝日、雨の甘い空気、冬のきりりとした輪郭。そういう、良いも悪いも見境ない希望や絶望や愛情が、音楽として再構築されて渡される。
きっとラーソンの見ていた世界は鮮烈で愛おしかっただろう。
自分のなかにも、歩んできた人生に意味を見出せる何かを育てていきたい、そう前向きに思える作品だった。
こんなに素晴らしい映画だが、Netflix配信限定なのが口惜しい。是非、ディスク化して欲しい。
