牛猫

子供はわかってあげないの牛猫のネタバレレビュー・内容・結末

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ひょんなことから書道部の男の子と仲良くなった水泳部の女の子が、彼の力を借りて幼い頃に別れた父親の居所を探し当てる話。

オンライン試写会にて。

相当面白かったし、愛しさが詰まった映画だった。

最初いきなりアニメから始まったから、別のページを開いてしまったのかと思った。アニメのエンドロールでチラッと映った声優が本物のアニメさながらの豪華さで笑った。

先生の「なっ」という口癖。
お土産のうまい棒。
「今親いないから〜」という前置き。
兄弟揃って藁の字を空で書く。
暗殺に気をつける。
ルー大柴な斉藤由貴。
宗教団体の名前が「光の箱」っていかにもありそうな名前。
書道教室に展示してあった「山菜料理」の書。
沖田修一ワールド全開で細かいところでクスクス笑える。

屋上から校舎に戻る時のアニメについて熱く語りながらの長回しが最高。共通の趣味を見つけた者同士の嬉しさや楽しさが溢れ出ていた。

門司くんのお家が風情に溢れていて素敵すぎる。
美波たちが過ごす街も、舞台がどこか分からないけど、都会でもなく田舎すぎることもなく、ほのぼのとしていて夏休みの雰囲気が心地良い。
膝で割るアイス食べながらバスケ。
家族総出で部活に応援に来る。しかも名前付きの団扇を持って。
気の抜けたカルメンの音楽も世界観に合ってる。

そして相変わらず食事シーンが最高。ハンバーグ。コロッケ。うどんにバナナにとうもろこし。夏の匂いがこちらまで漂ってきそう。

電話越しに会話を聞いた部活の子の反応が秀逸で笑える。父と娘の一夏の交流もさることながら、近所に住む女の子の一言がいちいち面白い。

上白石萌歌ちゃん凄い良かった。「未来のミライ」の声優で叩かれていたイメージしかなかったけど、自然だし間の取り方が上手いし爽やかだし、お姉さんより好きかもしれない。

お父さん呼びからの「カレー温めてくるわ」からのアニメのDVDボックス発見の流れ。
そして娘が帰った後のアニメの音声。
その後のお母さんとのやりとりも、探偵のお兄さんの請求書もベタだけどグッとくる。終盤にこんなに畳み掛けてくるとは、完全に油断していた。

まさに宝箱のような夏休み。
最高の感動青春物語だった。
牛猫

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