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子供はわかってあげないのSSのネタバレレビュー・内容・結末

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

オンライン試写にて。

海、波打ち際を並んで歩くふたり、青空、汗をかいたグラスに入った氷と緑茶、うどん、かつての会話を辿るように駆け上がる階段、張り詰めた涙がぽろっとこぼれる瞬間。からっと気持ちよく晴れ渡った夏の日に不意に呼び起される夏休みの記憶のような懐かしさが漂う映画は、まっすぐできらきらで眩しい。最後に畳み掛けるように見せられる階段のシーンとこぼれる涙は息をのむほどに美しくて、なんだか無性に泣きそうになる。

うどんを食べている最中にさりげなく飛び出す「まあそこが、神のつらいところだよね」というパンチの強い言葉と、「死んでる、いい死体だ」「先生が泳げなかった頃、カナヅチでも死体になったら浮くんだよとお母さんから教わって、先生は昔、毎日死んでました」「はい、もっとちゃんと死んで。心から死んで。いいよ、いいねえ」という声がけ。沖田監督の作品にはどこか日常の中のおかしみのようなものを感じることが多いのだけれど、今回の作品の中ではこのふたつに特にそれを感じて好きだった。

涼しい映画館の大きいスクリーンでこの映画を見ることのできる夏がとてもとても待ち遠しい。
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