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子供はわかってあげないのradioradio526のレビュー・感想・評価

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)
3.8
「水泳の朔田!何君?」「もじくん…いや俺、書道部のもじ」

「子供はわかってあげない」鑑賞。

好きなアニメが同じ…ふとしたことから知り合った美波ともじくん。
何故かもじくんの自宅で美波のもとに届いた「謎のお札」が何なのかを知ってしまう。
そして、ふたりは幼い頃に行方不明になった美波の実父を捜すことになる。
女性みたいなもじくんのお兄さんの協力を得て行方はあっさりと判明。
美波は今の家族には内緒で父に会いに行く。

沖田修一監督の作品が大好きだ。
あまり監督で選ぶということは無いんだけど、何故か沖田監督へは絶大な信頼感がある。初めて見たのは「南極料理人」でその後「横道世之介」それから「モリのいる場所」「おらおらでひとりいぐも」。
沖田監督の作品は陽だまりのような柔らかい暖かさがある。何気ない市井の人々を独特のユーモアでおおらかに描く作風が大好きなんだと思う。
わりと彼の作品は笑ってしまうような間があるんだけど、今作は何度も笑ってしまった…多分これまでで一番笑ったんじゃないかな。
漫画原作ということもあるだろうけど、監督独特の間が作品にうまくハマっているんだろうな。

それにしても…上白石萌歌と細田佳央太というキャスティングの妙よ!
なんと素敵な二人なんだろう。どちらも微妙にコミカルなキャラクターなんだけど、相互に圧倒的な肯定感があって…そう、この映画は全体に肯定感に満ち溢れているんだ。
水泳部の仲間も、書道教室の子供たちも、おネエなお兄さんも、出会えた実のお父さんも、美波の今の家族も…。
全てに肯定されたからこそ二人の素の心根が見えて、ラストの演出が効いてくる。うん…沖田修一監督作品の中で一番好きだこれ!
それにしても夏の匂いがする映画だったなぁ…廊下で卓球したくなったよ。
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