うにたべたい

ロバマンのうにたべたいのレビュー・感想・評価

ロバマン(2019年製作の映画)
3.7
フリーアナウンサーやラジオのパーソナリティーを主にしているタレントの吉田照美68(ロバ)歳を記念に作られた映画。
主演は吉田照美で、ラジオにはがきを投稿するのが趣味な老年男が、突然、変身ヒーローになって暴れまわる内容となっています。

主人公の「吉村公三」は、ロバマンというペンネームでラジオに投稿し、パーソナリーに読んでもらうのを趣味としています。
気が小さい吉村は、日常的に起こった細やかな出来事に対して注意ができず、"ガツンと言った"こととしてはがきにしたため、投稿していました。
そんなある日、空に謎の飛行物体が現れ、吉村は吸い込まれてしまう。
中ではロバそっくりの宇宙人がおり、仲間だと勘違いした吉村に、『ロバマン』への変身アイテムを授けてしまいます。
ロバマンに変身することでスーパーパワーを得た吉村は、それまで注意できなかった歩きスマホや煙草のポイ捨て、行列の割り込みに鉄拳制裁を行い、セクハラ上司や腐敗した政治家など、自身が「悪」だと判断した相手に対して、暴力による制裁を加え始める、という展開です。

変身後のロバマンは、お世辞にもかっこいいとは言えないです。
老年男性の顔面丸出しのヘルメットを被って、名前も68歳でロバ面だからロバマンって、そのまんますぎる。
暴力で正義を貫くスタイルも、作中も賛否両論でしたが、決してイコール正義とは言えず、外見も中身も微妙でした。
最初から最後までハッスルしちゃったおじさんの域は出ず、内輪ネタまで使い出すといういつも通りのグダグダ展開でした。
ただ、個人的にはオチもしっかりしていて、他の河崎実作品に比べると悪くなかったんじゃないかなと思います。

ただ、私自身が吉田照美氏をよく知らないのと、いくつか芸能ネタが出てくるのですが、だいたいわからなかったので、そのあたりはしらっとしました。
ラジオを聞かないのでオールナイト星人と言われてもなんのことかわからないですね。
といっても唐突に月光仮面が登場したり、伊東四朗扮するタフマンが登場するので、わけがわからないという意味では、そもそも河崎実作品なのでそういうものだとわかった上で見るべきだと思います。
「あんたがたタフマン」とか言いながら謎のビームを放出するのにはさすがにたまげましたが、相変わらずの河崎実で、逆に実家のような安心感がありました。
こうでなければ務まらないですね。

全体的に悪くなかったですが、盛り上がりには欠けていたように感じました。
一方で、68歳のおじさんを巨大化させてビル街で暴れまわってもらうわけにもいかないだろうし、まあこんなものだろうと思いました。
河崎実作品好きであれば普通に楽しめると思います。