メキシコ・シティでは900万の人口に対し正規の救急車が45台しかなく、民間の救急車両がそれを補っているそうです。しかし、それらは法整備されているわけではないため民間業者は必ずしも急患を運んだからと言って報酬を得られる訳ではなく、また腐敗した警察官から賄賂を要求されたりもしているのが実態。本作品はそうした現実をある家族に密着することで淡々と描いたドキュメンタリーでした。毎日が映し出されているような出来事の繰り返しだとしたら厳しいですね。音楽は一切なく、ただ夜の街にサイレンを響かせ現場へと急ぐ救急車両の絵が大半ですが、張り詰めた緊張感と、仕事を超えて怪我人を助けようとする彼らの想いも垣間見えたりして普通に映画を観ている錯覚に陥るような良作でした。
