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永遠が通り過ぎていくのshunのレビュー・感想・評価

永遠が通り過ぎていく(2022年製作の映画)
3.8
AV女優で文筆家としても活動する戸田真琴さんが監督した3本の短編からなる作品です。

2年ほど前、自粛期間中に本屋で見つけた戸田さんのエッセイを2冊買って読んでからファンになり受験中にその言葉にとても支えられた。本の中でも映画を観ること、監督することへの想いが綴られていたので彼女の作る映画がずっと気になっていました。
そんな彼女の初監督作品が一年間の自主配給を経てついに一般公開されるということで初日に観てきました。

1日なのでサービス料金なのに加え、上映後には監督本人と出演者によるトークもありサインもいただけたので満足です。

映画自体の感想としてはまず映像が美しい。3作とも撮影、照明と衣装がどれも良かったです。
特に3本目が好きで車と夕日の重なり方やトイレを上から撮ったシーンが特に印象に残ってる。監督の頭にあるものを忠実に映像にできる技術を持った人たちの存在が映画にどれだけ大切か改めて実感しました。
そして今回は監督自身が編集したバージョンを観ることができたのも嬉しい

ストーリーや内容については一度で十分理解するのは難しい。1作目については監督のエッセイを読んだ上だと結構ベースにあるものが見えてくる気がする。
2作目はロードムービーです。監督はロードムービーは「シーンを重ねることが説得力になる」ため予算などの都合から編集素材が揃っていない状況が苦しくもあったと語っており、いつかこの人が十分納得できる環境で作ったロードムービーが観たいと思った。
3作目は短編映画と言うよりMVって感じ。前述しましたが雰囲気的にこれが一番好きでした。

トーク内でもおっしゃっていましたがこの人は本当に「書く」ことを大切にしているんだなと感じた。セリフも書き言葉風で、この映画から溢れてくる言葉を一回では受け止めきれなかった自分がちょっと悔しい。パンフレットも買ったので後でじっくり読もう。
そして映像の間に挟まれる写真が本当に素晴らしかった。飯田エリカさんというこの映画以外でも戸田さんと一緒に色々やってる写真家の方が撮られたものですが、これがあるだけで映画の魅力が何倍にもなってると思う。

監督の「映画は観られることでやっと何かが完成する」「撮ってしまったら映画のために生きるべき」という言葉が心に残る。この人の作る作品をもっと見ていたい、そう思える映画でした。
久しぶりのアップリンク吉祥寺やっぱりいいなあ。今日は午前中に「ベルファスト」も六本木で観た後だったので充実した一日でした。
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