白ご飯

永遠が通り過ぎていくの白ご飯のレビュー・感想・評価

永遠が通り過ぎていく(2022年製作の映画)
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目の前を横切ろうとするその老人の背中はひどく曲がっていて

歩く姿をじっと見ていると足が不自由であることがわかる

かばい続けてきた足のせいか
それとも思うように動かぬ現実にへし曲げられた心が背中まで歪めているのだろうか?

横断歩道を渡る人たち
僕は信号が変わるのを待っている
昨日の僕が 明日の僕が
今 目の前を通り過ぎていく

目の前を颯爽と歩くその女のスカートはひどく短くて

ついつい目が奪われてしまう
強い風でも吹かぬものかと
そんな視線に気が付いたらきっと彼女は僕を睨みつけてくるだろう

「自分の為にしてるだけ」だと
「誰かの気を引きたいわけじゃない」と


横断歩道を渡る人たち
僕はハンドルを握り締めて見ている
昨日の僕が 明日の僕が
今 目の前を通り過ぎていく

イライラした母親はもの分かりの悪い息子の手を引っ張って

もう何個も持ってるでしょ!?と おもちゃ屋の前で声を上げている

欲しがっているのはおもちゃじゃなく愛情で拒んでるのも「我慢」を教えるための愛情で

人目も気にせず泣いて怒って
その親子は愛し合っているんだ

横断歩道を渡る人たち
僕はフロントガラス越しに見ている
昨日の僕が 明日の僕が
今 目の前を通り過ぎていく

ギターケースを抱え歩くその少年は仲間と楽しげに話している

好きな音楽の話かそれとも好きな女の子の話か?

そのギターで未来を変えるつもりかい?
それならいつか仲間に入れてくれ

僕だって何もかもをもの分かりよく
年老いたくはないんだ

横断歩道を渡る人たち
僕は信号が変わるのを待っている
昨日の僕が 明日の僕が
今 目の前を通り過ぎていく
昨日の僕が 明日の僕が
今 目の前を通り過ぎていく