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眉村ちあきのすべて(仮)のQTakaのレビュー・感想・評価

眉村ちあきのすべて(仮)(2019年製作の映画)
4.2
ドキュメンタリー映画?かと思いきや…
このどんでん返しは、眉村ちあきと松浦監督によって用意周到に仕組まれた展開だった。
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今回、この巣篭り期間にこの映画を見たのは、”STAY HOME MINI-THEATER”のおかげだ。
映画館が休館中のこの時にいかにして”映画”にアクセスするのかということが重大な問題になっている。
でも、今回、こうして最新作に出会うことが出来た。
本作は、”MOOSIC LAB 2019”の作品で、札幌でも2月の末に見られたかもしれなかった作品だ。
実際には、札幌でのMOOSIC LAB 2019にはラインナップされなかったのだけれど。
その時見られなかった分、今回は、こんな状況にも関わらず見られたことに興奮している。
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映画の前半は、実際のアーティスト兼経営者として活躍する若い女性の日常を追う内容で展開する。
このエネルギーに満ちあふれたアーティストの姿に魅了される、というか、圧倒される。
関係者達の言葉も有って、その実像が浮き彫りにされるにつれ、その魅力に取り憑かれて行く。
「あ〜、ライブ見たい〜。」っとなる。
ところが、途中から雰囲気が変化する。
ちょうど小川紗良さんのナレーションから様相が一変する。
ここからは、フィクションの世界。
「”眉村ちあき”とは?」というSFドラマが展開されるのだが…
その世界観がいろいろイイ。
オリジナル”眉村ちあき”と代役”眉村ちあき”。そのオーディションや練習等を通じて、オリジナルの姿、姿勢、思いが展開する。
それって、もしかして、現実の”眉村ちあき”が日々感じていることかもしれないね。
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このフィクションは、前半のドキュメンタリーの”眉村ちあき”と繋がっていることがわかる。
つまり、この物語は、まさに”眉村ちあき”を現実からその中身まで表したものだと感じました。
前半のドキュメンタリータッチの表現ならムーラボっぽくなかったね。
でも、小川さんのナレーションからガラッと舞台が変わり、SFタッチになって行く。
予算の都合だって有るだろうし、時間の問題もあっただろう。
だから、ちょっと(?)チープな作りもありだと思う。
というか、そのチープさが、「この展開、始まったよ〜」っていう合図だったりする。
だから、全然付いて行けるし、そこに入っていける。
むしろ舞台装置のチープさがと役者たちの熱量の差が、演技に集中させてくれる。
そこに有ったのは、”絶妙のバランス”。
このいろいろな制約の中で、魅力的なヒロインをいかに輝かせるかという愛情を感じる演出だった。
この映画が、MOOSIC LAB 2019でみんなに称賛されたことが良くわかった。
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今回のオンデマンド配信には、アフタートークが有って、司会にシネマスコーレの坪井さん、参加者は、松浦監督、品田誠さん、徳永えりさん、小川紗良さん、そして眉村ちあきさんだった。
それぞれに、ミニシアターを運営する人、監督、役者、役者兼監督、アーティストと、いろいろな見方をもって居られた。
そういう話しがまた面白い。
楽しかった〜。
こんな状況下で、こんな楽しみ方を提供してくれたことに感謝。
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