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ぶらりぶらぶら物語のumihayatoのレビュー・感想・評価

ぶらりぶらぶら物語(1962年製作の映画)
5.0
とてもよかった!!!

戦後、定住・定職・定期預金。
なんなら未来まで「定まっている」様な社会で、「サラリーマンなんて自由じゃねえ!」との事でルンペンをしている小林桂樹が捨て子を拾ってさぁ大変!な反戦映画!
(なんじゃそりゃ(笑))
とりあえず名言の宝庫。

乞食だけど愛はある主人公の考えてる事が、フリーランスやってる僕としては「おまおれ」過ぎて共感の嵐。
そして高峰秀子の言う「人間の自由は人間の社会でしか手に入らないのよ」という説教もごもっともなのです。

定まっている社会の中で自分の生活や気持ちよさを動かしたくなくて、子供が邪魔だと捨ててしまう様な本当のクズもいるわけですが。。。


社会でうまく立ち回りながら
思考停止せずに、自分第一にならず
「こんなんおかしい」
「自由って何よ」
「愛って何よ」
と悩んでいる事が唯一人間を人間たらしめるものだと思いますし
サラリーマンだろうとルンペンだろうと、そう言う精神性が大事だと言う話だった様に思いますし
最もらしい見た目や肩書きなどが無いとその人のことや善悪が判断できない、日本人の主体性の無さや許容や寛容の不足。しかもそれは今にも死にそうな子供に対しても行われると言う倫理観の無さまでも痛烈に風刺した作品でもあると思いました。

今作で小林桂樹演じる主人公が誰よりも子供に好かれる事が、何よりも彼の在り方の正しさを証明していると僕は思います。
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