設定の時点でベタな映画だし、目立った役者はベン・アフレックだけで、内容も画面も地味なんだけど期待以上の面白さだった。弟がオスカー獲った「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の下位互換のような話で、ベン・アフレック本人も撮影当時リアルに離婚してアル中で、演じることが一種のセラピーになったとか話してて終始陰鬱な雰囲気が漂ってる、それが妙にいい出汁になってる。徹底的にベン・アフレックにのみフォーカスを当てた演出がいい。主要キャラ以外は顔も思い出せないくらい映さず背景に徹していて、全編がベン・アフレック演じる主人公の心象風景になってる。
台詞なくカットの積み重ねで見せたり、無粋な演出を削ぎ落とそうとしているのも好感がもてる。
映画的な快楽を度外視して、ヘタな感動劇にしないところもいい。最後まで主人公の話から軸がブレない。主人公の視野が広がるとようやく他者の存在感が生きてくるよう演出も凝ってる。
徹底的に地味でベタな話だけど、見てよかったし、類似作品の中でも悪くない完成度だと思う。
オコナー監督は結局やっぱこっち系の人なのかしら。誠実に人間を描写するドラマをつくる人。「ザ・コンサルタント」の続編、いつまでも待ってますからあ！
