パワードケムラー

ブラックアダムのパワードケムラーのネタバレレビュー・内容・結末

ブラックアダム(2022年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

 序盤はシャザムをなぞりつつ、中盤は『ザ・スーサイド・スクワッド』や『ピースメーカー』など今後のDCEUの舵取りをしていくジェームズ・ガン監督の流れを汲んだ作品だった。ウォルター・ハマダ氏もこれを最後に降板するし、今後はこのような作品展開を進めていくのかもしれない。

 アメリカ合衆国(とその愛国者のヒーロー)が持つ独善的な一面、アメリカ合衆国が世界の警察を名乗りながら植民地紛いのことをしているという欺瞞を描いていたのは面白かった。

 しかし、ピースメーカーで中心的に描かれたエミリア・ハーコートや特に説明されないジャスティス・ソサイティ・オブ・アメリカとジャスティス・リーグの違い、シャザムファミリーとの関係性の説明が無い、ホークマンの出自の説明が無いなど、「もう皆さんご存知だよね?」というテンション感で来るので、投げっぱなしな終わりに思える。

 おそらくJSAは政府の下部組織でJLはバットマン主導の民間組織、シャザムファミリーは存在はしており、ハーコートはアーガスのメンバーとしてメタヒューマン犯罪者の逮捕に関与している。ホークマンが今回中心メンバーだったのはエヌスメタルなど金属の知識に長け、同じく特殊な金属のマスクを持つドクター・フェイトと共に行動している。また彼は転生を繰り返す設定でも宇宙人の設定でもないなど説明不足な点も多い。
 
 特に気になったのはヘンリー・カヴィル演じるスーパーマンの再登場で、まずサプライズだったのにも関わらず先にメディアによって報道されてしまったことは残念だし、そして聖人君主のようなクラーク・ケントとアメリカ合衆国の負の側面の集合体であるアマンダ・ウォラーが良い関係を築いているのに違和感を感じる。

 悪党は殺すべきか否かという問答は既に『ピースメーカー』で散々ネタにしているし、これでもかとDCのキャラクターを推してきたがそれが興醒めになることが多く、既にユニバースでは無くなりバラバラに映画が進捗している状況では不可解な点になってしまうところも感じられた。

 あと、アトムスマッシャーの吹替声優に榎木淳弥を起用し、その演技プランは完全にMCUのスパイダーマンを意識していたと思う。