くまちゃん

ブラックアダムのくまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ブラックアダム(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

今作はヒーロー映画ではない。
純然たるドウェイン・ジョンソン映画である。
「エターナルズ」のマ・ドンソク同様、役者の持つパブリックイメージとポテンシャルをヒーローというファンタジックなマッチョイズムに置換した作品。
それ以外の優れた点は特段見られない。

突如として現れた筋肉男と少年の関係性は「ターミーネーター2」を彷彿とさせる。

遮蔽物関係なしに室内へ侵入してくるテス・アダムに対し、君の時代にはドアが無かったのかと皮肉を言うDr.フェイト。
心を入れ替え、敵は殺さないと誓った直後に敵兵を半殺しにするテス・アダム。
彼は言う。皮肉だと。
狭い室内でホークマンと衝突するテス・アダム。
スーパーマン、フラッシュ、ワンダーウーマン。壁に貼られているジャスティス・リーグのポスターがことごとく破られていく。つまり皮肉である。

ヒーローは敵であろうと殺人は行わないものらしい。
だが人間は殺さなくても、ヴィランは滅する。
全て人間目線の利己主義な価値観。

ダークヒーロー、アンチヒーロー、破壊神。
そのパワーワードに惹かれて観客は王道ヒーローとは違う魅力を求める。
しかしその実態は王道そのものである。

典型的かつ独創性に欠けたヒーロー映画。
ジャウム・コレット=セラ監督の良さが全くでていない。

ドウェイン・ジョンソンは今作撮影にあたり、スーツをできるだけ薄くするよう提案した。
自身の鍛え上げた肉体を際立たせるためだ。
キャラクターに対するドウェインのアプローチは素晴らしく、ワークアウトのプロフェッショナルとしての矜持が垣間見える。

ドウェイン・ジョンソンに頼りすぎた。
それがこの映画の欠陥であることは言うまでもない。
くまちゃん

くまちゃん