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力道山のodyssのレビュー・感想・評価

力道山(2004年製作の映画)
3.0
【虚実とりまぜた力道山の映画】

日韓合作。昭和30年代にプロレスの王者として圧倒的な人気を誇った力道山の半生をたどった作品。主演は韓国俳優ソル・ギョング。 

戦後日本の相撲界で出世しようとしながら在日であるが故に差別され、やがてプロレス界に転向して脚光を浴びるが、最後にやくざに刺されて死ぬまでを描いている。 

事実とフィクションとが混在しているため、この映画をそのまま力道山の実像と思わない方がいいようだ。あくまで一つの作品として見るなら、押さえがたい闘争本能のようなものを持つが故に、プロレス界でスターとなりながらも八百長で負けることができず、そのために自分を庇護してくれていた裏世界のボス(藤竜也)からも見放されてしまう悲劇のヒーロー像はそれなりに伝わってきて、悪くはない。 

ただ、こういう世界の裏はもっと複雑なはずだし、力道山が勝ち続けていたこと自体にも八百長性はなかったのか、アメリカ滞在時に何を身につけたのかなどは、ほとんど描かれていないので、私のように力道山を生中継のテレビで見た世代からすると、ちょっと物足りない。 

また、彼の日本語が少したどたどしいのも変。実際の力道山は普通の日本人と変わらない日本語能力があった。そもそも彼がプロレスで活躍していた頃は、彼が在日だということすら一般には知られていなかったのだから。
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