たくみ

バビロンのたくみのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.0
2023年の初映画館はこれでした。
もう2月やのに。。。1月映画館行ってなかったんや。。。
IMAXで鑑賞。3時間越えなので結構疲れました。

1920年代の映画産業を描いた作品。
サイレント→トーキーへの移り変わりの中での栄枯盛衰。
映画産業が100年足らずの歴史の中で死んで生まれてを繰り返して今があるという事が理解できました。
その描き方がとにかくドラッキーで、観ていて楽しかったです。


当時の映画産業の勢いそのものがとにかく前半に詰め込まれていました。
この辺りはデイミアン・チャゼルのお家芸という感じですね。
とにかく大人数使いまくって視覚的にも聴覚的にも楽しい画を見せてくれる。
色彩が抑え目なパーティー会場でマーゴット・ロビーの“赤”が映える。
お家芸に今回プラスされた要素として「下品さ」というものがあると思います。
ウンコシッコゲロチンコ。もう何でもありです。
そんなに下品にしなくても映画としては綺麗なのに敢えて下品さを足している。
当時の映画産業を美化することなく、「結構みんなまともじゃなかったよ」という監督の考えが投影されている気がしました。

トーキー映画に移り変わる事でスターの定義が変わってしまうのが残酷だと感じました。
それまでは無声だから意識されていなかった“声”で一気に転落してしまった俳優たちがいたという事実。
無声映画の時はのびのびしていたマーゴット・ロビー演じるネリーがトーキー映画で“音”を意識しないといけなくなった瞬間、自分の演技ができなくなっていく姿が見ていて辛かった。

ジャックも同様にトーキー映画に順応できずに苦しむ。
役者にとって自分の演技で失笑されるのはこの上ない屈辱なんでしょうね。

この映画で重要だと感じたのが“赤ランプ”でした。
作中では本番中の目印として強調されていた気がします。
ジャックがレディ・フォイと再会するシーンでの暖炉の上の赤いランプ。
その後ホテルの自室に戻り迎えるシーンで壁に拡がる赤。
どちらも画面上部に設定されておりランプの位置のように見えました。
ジャックの人生は常にオンステージであるかのように、赤ランプが灯り続けているように見えました。

主要キャスト3人の描き方はとにかく好きだったのですが、トビー・マグワイアのシーンの必要性や後半の尻すぼみ感など気になる所も結構ある印象です。
でも音楽の力強さがとにかく最高です。よってもって好みの映画でした。

狂った映画が観たいのならオススメです。

【その他メモ・独り言】
・ティムはクビ。
・なんでおっぱいポコチン見えてR15なん。
・衣装総数7000着。気が遠くなるくらい準備大変そう。
・バビロン:紀元前2000年頃の大都市。
・映画の歴史がラストに映し出されるのが最高。
・何かあった時にメキシコにすぐ逃げられるという理由でハリウッドの映画産業栄えたらしい。
・チャゼルまだ38歳。
たくみ

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