ピロシキ

バビロンのピロシキのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.1
表面的なプロダクションや事実に反する描写への批判があるのは理解できる。チャゼル監督に対しては「100年早い」という評論もあったようである。しかし、実際のん気に100年待っていたら、映画業界なんてもうとっくに終わっているだろう。陳腐でもメチャクチャでもいいから愚直に「映画への愛を映画にしたい」と思い立った心意気と、それを達成させた根気には、勝手に敬意を表したい。

この映画が100年後に誰かに参照されるような名作になるとは思わない。スピルバーグを差し置いてアカデミー賞を何部門も獲るような作品だとも思わない。チャゼル監督が今後名だたる大監督たちと肩を並べるようになるのかは分からない。

でもあの下品で猥褻で荒唐無稽で刹那的な享楽によって、少なくとも人生のうちの3時間は現実を忘れられた。必要なものも不必要なものも切り取らずにそのまま見せつけられるこの体験は、TikTokなんかでは絶対に得られない、まさに劇場に足を運んだ人だけが得られる特権だったと思う。

僕にそんなふうに思わせたのは、何を隠そうエンディングの映画史まとめシーンである。監督「俺を否定することは映画を否定することだ〜!」とでも言うつもりか!この卑怯者〜!チョメ〜!!
ピロシキ

ピロシキ