ひろ

バビロンのひろのネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

「スターの転落」を描いた映画は数多いと思うが、この作品では転落すら映画史に刻まれ、これからも受け継がれていくという結論を出している様に思えた。

映画という未開拓地を開拓していった先人たちのやり方は一見馬鹿にしてしまうほど野蛮で狂気じみているが、その蛮勇がなければ僕らはここまで来れなかったんだとデミアンチャゼルが力強く語っている気がしてしまう。そんなラストシーンが本当に本当に最高。鳥肌が立って、拍手したくなった。

盛者必衰、だけど盛者が歴史を紡いでいく。歴史を目撃する権利は誰もが与えられてる。それが映画。

それに加えて、3時間10分を感じさせないほどの各シーンの面白さ。
デミアンチャゼルが得意とする音楽と映像のシンクロが多く、観ていて気持ちが良かった。
作中でも言ってたけど「セット=魔法」というのはこの映画こそ相応しい。素晴らしいセットが多く、画面の説得力が半端ない。
緊張感の作り方もうまくて、長回しでじっくり煽るところもあれば、高速のカット割りで急かしてくる演出もあり、観ていて飽きない作りにしていた。

ブラピ演じるジャックがスターとして圧倒的なカリスマがあったのに、トーキーに時代が移り変わると共に哀愁漂うおじいちゃんになっていく様も演技力も相まって、観ていて悲しい。

もう一回劇場で観たいかもしれない。
ひろ

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