おふとん

バビロンのおふとんのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
2.6
デイミアン・チャゼルは少し痛い目を見た方が良い。

「セッション」「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼルの新作。

1920年代のハリウッド、サイレント映画からトーキーに以降する時代の映画スターの栄枯盛衰と狂乱を描く。

まず冒頭から汚い。
糞尿、セックス、ドラッグ、暴力なんでもありの乱痴気騒ぎは迫力ありましたが、これはやりすぎ…。
いや、これはサイレント映画好きな人は怒って良いと思いますよ。
映画史に詳しくない僕みたいな人間からしても、いやこの描写で古き良きハリウッドリスペクトしてますと言われても無理があるやろと思いました。

デイミアン・チャゼルの創作に対するある種脅迫的な信念、創作のためなら人生や人間性は犠牲にしてもいい、しなければならないという狂気的な価値観は今作も健在なのですが、今作ではもう完全にイっちゃっててくるとこまできたなという感じでした。

今作は誰が見てもマーティン・スコセッシの「ウルフ・オブ・ストリート」を連想すると思うんですが、やっぱりFACK!の言い方ひとつとっても巨匠スコセッシにはやっぱり及ばないなという感想。
デイミアン・チャゼルは凄い頭の良い人だと思うんですが、それもあってか狂いきれてないなという印象がありました。
絵面ははちゃめちゃなのにどこかお行儀よく見えちゃうんですよね。
あと、映画論とか芸術論みたいなのをそのまま登場人物に言わせちゃうのもダサい。
台詞回しのときは物語が止まっちゃってるんですよね。

でもまぁ若くしてアカデミー賞を撮っちゃった監督だから作風の幅を広げたいっていうのは分かるんですよね(でも要所要所にラ・ラ・ランドを彷彿とさせる演出とか音楽とかあって予防線張ってて、そこがまたダサいんだけど…)。
マーティン・スコセッシに喧嘩を売るのはまだ早かったんじゃないかなぁ。
と言いつつ何だかんだでデイミアン・チャゼルの作品は追いかけるだろうけど。
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