"誰のせいでもないの…あなたは終わったの…"
1920年代、新たなる娯楽として確立されたもの…それは"映画"…
時代が求めたのは"スター"…ジャック・コンラッドは、ハリウッドの頂点に立った大スター…今宵も酒池肉林のパーティの主役…女優を夢見るネリーはそんな狂気のパーティに潜り込み、映画製作の夢を抱くメキシコ人のマニーと出会う…
天賦の才能でスター街道を駆け上がるネリー、徐々に映画製作者として頭角を現すマニー…時代はサイレントからトーキーへと大きく変わろうする中、一人取り残されつつあるジャック…
冒頭の猛烈なシャワーから、まさに"酒池肉林"という表現そのものでありながら、全身に響き渡るパーカッションとトランペットの響きが"あぁ、カッコいい"と思わせたオープニング…
こりゃ評価分かれるわなと納得の3時間…私は面白いと感じました。
確かに糞尿溢れた画面は汚い…"ハリウッドの黄金時代"の光輝く偶像の世界の影には、色々な意味で闇や汚れがあって、それを誇張して表現したように感じます。
サイレントで一時代を作り、時代の波に乗り切れずジャックやネリーやマニーのように消えゆく存在となってしまった者達が礎となり、今の映画達があるようで…水に漂う様々な色の模様はそれを表しているのかもしれません。
群像劇としては、やや散漫になってしまった感を抱かせたのは残念ではありますが、畳み掛けるテンポの良さに3時間という長さを感じさせなかったデイミアン・チャゼル監督の確かな力量は流石です。
スクリーンを喰い入るように眺める観客は、そのまま今作を鑑賞する私達の姿でもあります。
あの終わり方が好き…