1920年代のハリウッド黄金時代。トーキー映画の革命の波が、多くの映画人の運命を変えてゆく。
ハリウッドの栄枯盛衰を体感する3時間超の群像劇。
朝一で浴びるにはハイカロリーな映画でした。寝不足の目を擦りながらの鑑賞だったのですが、朝方まで狂乱パーティーに興じていたマーゴット・ロビーが、翌日(というか3時間後)撮影現場にちゃんと現れたので感心してしまう。
悪夢みたいなパーティーのあと。
薄明の空をバックに、映画の役をもらって大はしゃぎのネリーがとても美しかったな。そんな彼女を見つめるマニーの恋する瞳も。
サイレント映画の現場ではいくつもの撮影が同時進行し、生死にかかわる事故も日常茶飯事。
ブラピご一行様のへべれけ行軍とかとんでもないことばかりなんだけど、そのエネルギーに圧倒されると同時にとても楽しかった。
デイミアン・チャゼル監督の映画愛は留まるところを知らず、頭をがんがん揺さぶられるラストは今作でも健在。様々な時代の革新的な映画を引用した映像がフラッシュバックし、洪水のように押し寄せます。
(コラージュの中に監督の作品も紛れていないか、ちょっとだけ探しちゃった笑)
トランペットの息継ぎのたびに、目尻のしわと上がる口角と、笑顔みたいに見えてとてもキュートだったシドニー。
そんな彼に黒塗りのドーランが手渡される。尊厳を踏みにじられ、微笑みの形をしていた息継ぎが歪むのが痛々しく、辛かった。
。。とはいえ、人種や社会的な階層の役回りだあまりにテンプレだって批判は尤もと思います。非白人や同性愛者それぞれのエピソードを特別不満に思わなかったけど、新鮮さもなかった。
デイミアン・チャゼル監督作品は群像劇より、世界に貴方と私の二人だけってくらい、パーソナルな関係性を描く方が輝く印象。
