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バビロンのpurity7のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
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最近、新しく上司になった人と面談したんです。1時間も話すと聞かされてうんざりしてたんですけど、結局Universal Studio Hollywoodは素晴らしい夢の施設で、一番好きな映画は「ET」だという話であっという間に終わってしまいました。相手は映画に全く興味なさそうだったんで、さぞかし私は滑稽に映った事でしょう。この6日間で5作品6本を映画館で観てると知ったら、狂ってるとしか思わんだろうな。

それが私だから仕方がない。映画を映画館を、映画を作るという世界の素晴らしさを知ってしまったんだから、そこに興奮と喜びを見てしまったんだから仕方がない。

だから「バビロン」を観て、私の気持ちはどん底ですよ。強烈で眩しい光の反対にはどうしようもなく深くて恐ろしい影がある事を念頭に夢の世界を楽しんでるんだから、こんなにも執拗にハッキリと汚物まみれに描かれると、どんよりします。どんよりしてる世界を描こうと思って作られたんだろうから、当たり前なんですけど。

小学生の頃、チャップリンが大好きで図書館に行っては彼の自伝を読みあさってたんです。最初は意外とハンサムな素顔の写真に見とれたりしてたんだけど、読み進めると彼は子供時代から悲惨。ハリウッドに渡って成功してからも、私生活は悲惨。脅されたり訴えられたり、結婚しては離婚しての繰り返し。サイレントからトーキーの変わり目だから、「バビロン」と被る時期ですかね。ネリーも彼の名前出してたしね。

チャップリンは脚本・監督のみならず作曲も歌唱もできる天才だったんで、トーキーという危機を「ティティーナ」で乗り切りましたが、やがてコンラッドのように「彼の時代」は終わり、最終的にハリウッドを追い出されています。

でも、彼の作ったものは映像や音楽のみならず、スタジオや製作会社も様々に持主を変えつつ残っている。もう100年以上も経っているのに。その光が一瞬だった人もいれば、長く続く人、何よりも自分の心が大事であると気付いてスパッと離れていく人、未練なく新しい世界に飛び込む人。それぞれに少しでも何か証が残せた事は幸せだった、と思いたい。

というわけで、無理くり、なけなしの知識でアプローチしてみたけど、圧倒的な知識不足は否めない。『雨に唄えば』と『イントレランス』は必須だったみたいで。クラシック映画、なかなか「よしっ、観よう!」ってならないんだけど、最近は「ワンハリ 」とか「NOPE」とか、私が愛してやまないものの起源に目を向けるキッカケを与えてくれる作品が沢山あって、とても恵まれてると感じております。

それにしてもぉだ!クライマックスのアレは狂気の沙汰ですよ!アカデミー賞のオープニングでもあそこまでやらないんじゃないだろうか。映画の技術革新に寄与した作品ってくくりでもなさそうだけど、チャゼルなりの哲学があそこに在るんでしょうな。一つ一つ、チョイスに至った経緯を解説して欲しい。

Hooray for Hollywood!
That screwy, ballyhooey Hollywood!!
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