ぴろぴろ

バビロンのぴろぴろのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.6

時代はサイレントからトーキーへ。
この作品からは、いつか必ず終わりがくる、諸行無常、盛者必衰、まるで『平家物語』(←暗記させられたね〜)の冒頭を思い起こす様な壮大な映画だった。
鑑賞後に思うのは、酒池肉林のオープニングは正に『ただ春の夜の夢のごとし』を表現してる様だったし、ある大スターの繁栄と衰退、哀愁と顛末には『風の前の塵におなじ』儚さを感じる。
時代は常に動いている。
マニーの台詞に“作品の一部になりたい”という様な言葉があったと思う。  社会そのものを動かす事は出来なくても、社会の歯車の一つであるのだという大人の誇りにも通じて、ジーンと来てしまった。
しがみつくのもプライド、でも離れてみる、逃げて手放す事だって誇りがあればこその選択なんだよとも思うけど、当事者になってみないと分からない。    人々にもてはやされ、時期が過ぎると貶まれて忘れられる。   映画産業の栄枯盛衰が切ない。
強烈な印象を残したジャック、ネリー、マニーの陰で黒人ミュージシャンとレディ・フェイ、トビー・マグワイアも光っていた。
音楽も良かった。
そしてめくるめくラストの映像とマニーの表情は、トトやレオンを彷彿させる良いシーンだった。   野望の先の悲哀と郷愁。
今作は映画を愛して映画に愛された映画人のための壮大なスペクタクル。
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