カツセマサヒコ

バビロンのカツセマサヒコのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.1
開始5分で大量のウンコとおしっこが画面に降りかかってくるので、船長よけてー!よけてー!!ってジャングルクルーズに乗船した気分です、ほんとうに僕は何を観させられているんですか?

と早々に自分に尋ねていましたが、このセックスドラッグエレファントうんこ祭りの退廃的なオープニングこそまさに映画界に革命が起こる前夜のハリウッドの様子そのものなのでしょうか。

映画に音声がまだなかった時代。そこで輝いていたスターたちは「声」を求められることがなかった。そこに革命は起き、映画はサイレントからトーキーへ。今まで「黙って演技させたら一流」だった役者たちは姿を消していく。

その時代設定だけでうわーまるで知らない世界!と僕の中ではすでにファンタジーだったわけですけども、でもこれは、意外にも自分の身近なところにも起き得る現象だし、実際に起きてきたこと。AIはじめテクノロジーが猛烈な勢いで発達していくなかで、必ず失われる仕事は生まれていきます。

その諸行無常を受け入れていかなきゃいけない、という意味で、中盤以降はまるで明日の自分を見ているような気持ちになっていました。

相変わらず音楽への気合いの入り方がすげえやと思いながら、ララランド以上に気合いと金がかかった今作、ぜひぜひ劇場で見てほしい作品です!