骨折り損

バビロンの骨折り損のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.4
僕は、いつか誰かが作った映画を見て後悔したくない。

だから、何があってもスクリーンの向こう側の当事者でいたい。自分に嘘をついてまで映画を好きでいられない。

映画を見ながら、自分の人生と重ねてしまい、色々なことが頭をぐるぐると駆け巡った。

こんなカオスな映画だと思わなかったが、いい意味で奇天烈でゲテモノで、いかがわしい雰囲気が充満した最高の作品だった。このいかがわしさがこの映画をただの「映画製作万歳映画」にしていない。決して綺麗事じゃない、好きなことをやりきるという行為の傲慢さをこれでもかとこちらに見せてくる。それは内心、見たくないものであり、目を背けたくなるのだが、傲慢さを極めることでしか見られない美しい景色へと最後に連れていってくれる。

その景色はとても美しく、見ているだけで快感を感じる。しかし、無慈悲にもその景色はただの嘘っぱち、あなたはスクリーンを見つめているだけの観客でしかない、と奈落の底にしっかり突き落としてくれる。

これが現実ではないと知ってなお、このドラッグは簡単にはやめられないと確信した。
骨折り損

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