おざわさん

バビロンのおざわさんのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.1
1920年代のハリウッド黄金期。
スクリーンの中にある夢を掴もうとハリウッドにやって来たネリーとマニー。

二人はサイレント映画の大スターのジャックと出会ったことで、その最前線に入って見えてきたのは華やかながら狂気のような世界。

観客がスクリーンに求める「夢の世界」を描き出すために役者や製作者たちは蝕まれ、搾り取られ、最後にはダシ柄のようになった姿を嘲笑われる。

そんな中で生きていくしか無い役者たちの哀しみや、そんな映像の中では永遠に華やかに生き続ける虚しさが、ラストの回想シーンには現れていた気がします。

そしてそんなシーンで号泣するマニーの涙は、デイミアン・チャゼル監督やプロデューサーのトビー・マグワイヤを始めとする俳優陣たちからの、それでもやっぱり大好きな映画の世界への永遠の讃歌であったように感じました。


『華麗なるギャッツビー』的?『ワンスアポンナタイムインハリウッド』風味?なんて感じる出鱈目な世界観で、『ララランド』の冒頭で渋滞の中で順番を待つ俳優たちの成れの果てを見ているかのよう。

そんな夢を叶えるためには大きな代償が必要なことも知らず、その先に待つ栄光ばかりを追う若者たち。

そんな全てを含めて、映画界の歴史を走馬灯のように一気に見たような気がしました。