景

バビロンの景のネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

サイレントからトーキーへの転換期のハリウッドを描く映画というと『雨に唄えば』があるけど、『バビロン』は描き方がものすごく派手でハイテンポでウェットだった。観測範囲では酷評されてるけど、私は面白かった。三時間を越える長尺なのにほとんど退屈を感じなかったもんな。とはいえ長さを感じる時はあったんだけど、具体的に言うとマッケイのシーンはまるまるカットしても良かったんじゃないか。あそこはすんげえだれた。

豪華絢爛な狂乱と狂騒でギットギトな前半のパーティ描写は悪趣味というより露悪的で、面白くはないんだけど思ったより胸焼けはしなかった。ブラピやマゴロビの纏う雰囲気のせいか、なんか下品になりきれないというか。こういうところが彼らのスターたる所以なのかなとも思う。

後半は時代の変化と混乱についていけず振り落とされる者を容赦なく描いており、中でもジャックが印象的でした。かつては停滞を非難し、進歩することを熱く訴えていた彼だからこそ、時代に殺されてしまう皮肉が効く。エリノアに時代遅れの元スターだと言われるシーンも良かったし、私はやはりブラピの演技が好きなんだなと改めて実感した。シドニーもいいんよね。特に顔を黒く塗ることを強要されるところは酷かったけど、他にも彼の描写がもっと欲しかった。

ただ、終盤の演出には白けてしまった。単純に面白くないと思うんだけどな……あんまし好きじゃないな私は。
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