アラカン

バビロンのアラカンのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.9
映画のはじまりと、はじまりのおわり

豪勢で華やかでそして何より狂っていたハリウッドの姿がこれでもかと接写されており、何もかも曝け出した剥き出しの熱にあてられる3時間だった。
前半のラディカルな展開に対して後半は緩やかに閑かに結末へと向かっていく。少し物足りなさはあるが盛者必衰という展開に重なる印象を受けた。
時代は移ろい、人々は忘れ、次へ次へと進んでいくけれど、誰かが遺した轍が誰かに受け継がれていく。そうした連鎖の中に消えていく者は救いがなくとも幸運なのだろう。
ラストシーン「雨に唄えば」を観て自分を重ね泣いたマニー、それに応えるようにその後の映画史を発展させるきっかけとなった作品達が続々と映し出される。突然のメタ要素に賛否は分かれるだろうが、個人的にはここまで肉薄したハリウッドの内幕を描いたラストとしては当然の帰結だと思われる。喜劇も悲劇もないまぜのこの軌跡の行く先が楽しみで仕方がない。
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