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バビロンのyuumのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.9
ルドルフ・ヴァレンティノの美しい手紙、血肉湧くエンターテイメントを求めて大勢で走らせる車、不気味な白塗りの男によって誘われる地下の世界…etc 本作の時代設定は無声からトーキーへの変遷過渡期のハリウッドで、『モロッコ』のマレーネ・ディートリッヒへのオマージュなど古典作品を絡めたものも勿論あれど意外にも現代作家たちの引用を束ねた作品だと気付かされる。(順番にウディ・アレン『カフェ・ソサエティ』、PTA『リコリス・ピザ』、デヴィッド・リンチ『ロスト・ハイウェイ』)
中間の時代では、アンナ・メイ・ウォンにインスピレーションを受けたアジア系映画スターFayにレズビアン関係から身を引くようにとMannyが通達するシーンのグリーンブルーの光などはヒッチコック『めまい』的だ。
20'sの乱痴気騒ぎ、相次ぐ下品なシーンと騒々しさに世間の評価は芳しくなかったようで少なからず納得できる。が、黄金時代の古典期ハリウッドの虚栄と闇は個人的に大好きなテーマなのでストーリーや要所ゝゝに目立つストーリーの穴には目を瞑りたい。
ブラッドピットとのW主演ということで尺の限界だったのだろうけど、マーゴット・ロビー演じる主人公がMannyと仲を深める描写が少なすぎて彼女の借金の問題で彼の感情が怒りに爆発するシーンは不自然だったし、最終的にFayではなく彼を選ぶ展開もご都合主義的でいけ好かなかった。
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