Monisan

バビロンのMonisanのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.3
観た。

象さんをトラックで運ぼうとしたら大量の糞をくらうシーンから始まり、酒池肉林の異常なパーティーに。
そこまで過激でド派手にしなくても良い気もするけど、映像の迫力は強烈。

紛れ込んだネリー、マーゴット・ロビーの美貌よ。ブラピのジャック・コンラッドといい、いきなり大勢の人が出てくる割に、主役達が分かりやすくて良い。

セットで彼らが体験した映画の奇跡が起こる瞬間。そこに立ち会ってしまったらもうやめられないよね。
現場はめちゃくちゃだけど、楽しいんだよね。機材屋でカメラの返却待ち、日没ギリギリに撮れた美しい絵、そして肩に止まる蝶々。新たなスターが誕生するタイミング。最高だよな。
当時は現場の雰囲気出しの為に、音楽演奏しながら撮影していたのか。

そしてトーキーの時代に。
ネリーと音声さんとの喧嘩。面白い。そうか、いきなり同録なのでお静かに、なんて。ガラッと現場の雰囲気変わるわな。

ジャックとネリーが、変化に対応しきれないなか、持ち前の臨機応変さと対応力の高さで出世していくマニーとの対比。

黒人音楽の注目と共にスターになるシドニー。周りの黒人に比べて色が薄い彼が黒色の染料を顔に塗るシーンはきつい。

レディフェイは正直、いなくても成立した気もするんだけど。この現在のハリウッドの無理矢理な人種バランス、ポリコレ感もいつか、後世の映画でおかしく皮肉られる時はくるのか。
蛇を叩き切り、毒を吸い出すシーンは良かったけど。それ以外は画面の違和感でしか無かったかな。

ゴシップ屋とジャックのやり取りは良かったな。一時でも映画のスターになれた幸運。彼らはフィルムの中に生き続ける事ができる。
そしてジャックの身の引き方。切ない。

トビー・マグワイアのマッケイの館のくだり、ここも演出凝っていて楽しめるんだけど…流石に3時間は長過ぎるのでこの辺をもう少しサクッと見せても全然成立したと思うんだけどな。見応えあるんだけど、流石に長い。

ネリーが逸れて暗闇にいなくなる所も切ない。映画に出る側の圧倒的な栄光と、反動からくる闇堕ち具合。

大人になったマニー。LAを訪れる。
映画館に入ってからの畳みかけが揺さぶられた。馬の走るフィルムから、月世界旅行、2001年も一瞬あったか、ターミネーターからアバター。こんなのアリか、と。でもグッとくるものがある。
「重要で長く続く何かの一部になりたい」この台詞は沁みる。なりたい。

映画に関わりたい、強くそんな気持ちになる。観て良かった。

デイミアン・チャゼル、脚本・監督
Monisan

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