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バビロンのcoffeeのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
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全体的にニヒルなんだけど、監督の映画製作やハリウッドに対する愛情は伝わってくる。
監督は『La La Land』でも『雨に唄えば』のオマージュをしてたから単に今回の話も設定が似てしまったんだろうと思っていたけど、ラストにやはり本作は明らかに『雨に唄えば』を意識しているし、本作の方がより、本当にサイレントからトーキーへの時代の変遷で人生が一変してしまった人間が存在したということを強く意識させられた。
走馬灯のように力強い旧き時代と映画の未来が次々と映し出され、『雨に唄えば』を単なるラブコメディ、単なるミュージカルとして愉しんでいる観客の中でただ1人、「僕ら」の物語として涙を流し、自分の純粋な「動機」を思い出したラストは今までのデイミアンの作品と同様に大きなカタルシスで満たされていて、見終わったあとの幸福感が凄まじい。
確かに評判通り下品な作品ではあったけど、監督自身の好きなこと(ジャズ、ミュージカル、ハリウッド、etc...)を映画の中でしっかりと表現しているいつも通り面白い作品だったし、豪華絢爛な描写の中にも切なさが感じられる素晴らしい作品だったと思う。久々に映画を見ながら思考して、感動した。ありがとう。
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