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バビロンのBylethのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.3
作品解説
ブラット・ピット、マーゴット・ロビー主演の群像ドラマ。ディミアン・チャゼル監督が、1920年代のハリウッド黄金期を描く。
『ラ・ラ・ランド』で名声を確立したディミアン・チャゼル監督が、ハリウッド黄金期の1920年代を舞台に、映画制作に関わる様々な人々の栄枯盛衰を描いた群像ドラマ。冒頭の豪華絢爛なパーティー、現代の感覚からすると規格外の撮影現場、華やかなファッション、人種差別や性差別。光と闇、美と醜が混在するハリウッド映画界の人間模様が、実在のエピソードをベースに描かれる。主演はブラット・ピット、マーゴット・ロビー。

ストーリー
あらゆる夢が叶う場所、1920年代のハリウッド。映画制作に憧れるメキシコ出身の青年マニーは、夜ごと繰り広げられる映画関係者のパーティーで野心的な女優志願のネリーと出会う。ネリーは映画出演、マニーは無声映画の大スターであるジャックの助手というチャンスを掴み、それぞれが成功の階段を上り始める。やがて、サイレントからトーキーへと映画の形態が変化。マニー、ネリー、そしてジャックの運命もまた流転してゆく。

*BS10スターチャンネル公式ホームページの作品ページより引用

今年最後の作品は『ラ・ラ・ランド』のオスカー監督ディミアン・チャゼルによるハリウッド黄金期を描いた、今年2月に日本公開された『バビロン』
10月28日にスターチャンネル1で録画していた字幕版を鑑賞

サイレントからトーキーへ移行する今からおよそ100年前の1920年代、日本でいう大正から昭和へと変わっていく前後のハリウッドが物語の舞台となっており、その時代に起きた実在のエピソードが物語に織り込まれている。私はそのエピソードを全く知らなかったが、実際に映画本編を観てみると時代の移り変わりによって変わっていくものがあるんだなって改めて考えさせられた。そういう意味でも本作の裏テーマは『栄枯盛衰』ではないかと思われる。
劇中では激しいエログロだけではなく人種差別や性差別が混在する様が描かれていたが、1920年代の時代背景を踏まえると仕方がないとはいえ、1923年10月16日にはウォルト・ディズニー社が創立された事を踏まえると、ディズニー誕生の時代である1920年代がそのような時代だったからこそ、ウォルトの時代のディズニー映画には人種差別的な表現が一部の映画で含まれていたんだなと改めて思わされた。

キャストについては申し分なく豪華俳優陣を揃えてきたなって思う。今年の全世界興行収入第1位を飾り、DC映画が相次いで赤字になりほぼ瀕死一歩手前のワーナーを救った『バービー』のマーゴット・ロビーやサム・ライミ版『スパイダーマン』のトビー・マグワイア、『ブレット・トレイン』『ザ・ロストシティ』のブラット・ピット、『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストーンと超豪華な俳優陣が揃っており、狂喜乱舞とも言える見応え抜群の演技を見せつけられた。

製作費8000万ドルで、豪華絢爛なパーティーシーンや当時のハリウッドを再現した巨大セットに掛けた事が分かるほど素晴らしい映像構成であり、何しろ1億ドルくらい掛かっていてもおかしくないセットを8000万ドルに抑えられたのは素直に素晴らしく大きな功績になると思われる。実際、今年製作費を大きく抑える事に成功した作品として『ザ・クリエイター/創造者』が挙げられるだろう。こちらも製作費8000万ドルに抑えられており、SF大作映画としては極めて異例の事態だと言える。私はこの映画は未見だが鑑賞したらまたレビューを挙げようと思う。
それはさておき、興行収入的には『バビロン』と『ザ・クリエイター』はまさかの赤字となってしまった。そもそもの製作費が少ないので赤字幅も数千万ドル程度だが、しかし元々の予算を考えると収益面としては失敗と言わざるを得ないだろう。
と、長々と語ってしまったが興行収入と映画の感想は別の話なので、製作費が控えめであるにも関わらずこれほどの芸術作品として振り切っている点は評価したいと思う。

サイレント(無声映画)からトーキー(有声映画)へと変わり行く時代が舞台という事は、AIやギャラ問題を巡って脚本家と俳優がストライキを起こした2023年にとってタイムリーな1本だと思う。劇中でエキストラがギャラを求めて…みたいなくだりがあったが、あれはもしかしたら時代が変わっても自分たちは変わらないという映画関係者の想いを反映させたものなのかな。

そしてラスト、ココで1番凄いって思った。ネタバレ防止の為詳細は割愛するが、ディミアン・チャゼル監督の"映画愛"というものが上手く表現できていたと思う。全世界から有能な人材が多数集結し、エンターテイメントを送り続けるハリウッドが変化しつつある今だからこそ観てほしい超大作だった


最後に、これが今年最後の作品なので今年のベスト10とワースト10を下に書いておきます

ベスト10
1位 ザ・フラッシュ
2位 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
3位 グランツーリスモ
4位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME.3
5位 スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース
6位 ウォンカとチョコレート工場のはじまり
7位 マイ・エレメント
8位 リトル・マーメイド(2023)
9位 ミッション・インポッシブル/デッドレコニング
10位 ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

ワースト10
1位 ピーターパン&ウェンディ
2位 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
3位 ハート・オブ・ストーン
4位 聖闘士星矢 The Beginning
5位 プー あくまのくまさん
6位 赤ずきん 旅の途中で死体と出会う
7位 妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク
8位 ゾン100 ゾンビになるまでしたい100のこと
9位 ブラック・デーモン 絶体絶命
10位 バービー
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