開明獣

ブッチャーズヒル:甘い罠の開明獣のレビュー・感想・評価

ブッチャーズヒル:甘い罠(2008年製作の映画)
3.0
魔女伝説が信じられていた17世紀の米国東部、ニューイングランド。ラブクラフトのクトゥルフ神話も、アーカム郡というニューイングランドの架空の場所が舞台である。アメリカ初期の物語作家、ワシントン・アーヴィングの短編集、「スケッチブック」の中の名高い一編、「スリーピーホロウ」は、デュラハンというドイツの首無し騎士がベースの物語で、これはニューイングランドではないが、東部が舞台の恐怖譚だ。当時はまだ魔女や悪魔の影が色濃く残っていたのだ。

本作の設定年代とほぼ同時期に、ニューイングランドでは、「セイラムの魔女裁判」という凄惨な事件が起きている。魔女狩りが行われ、20人以上もの人間が拷問にあい、刑死、あるいは獄死している。

死亡した魔女の中には復活していまだに暗躍しているという説もある。「ジェーン・ドゥの解剖」は、その話しをベースにしているようだ。

中世初期には異端に対して非常に寛容だった、バチカンは、マルチン・ルターの唱える宗教改革などと共に、信仰が揺らいでくるとみるや、苛烈な魔女狩りを始めた。が、17世紀に入って、欧州ではその蛮行は終息していったが、アメリカではまだ生きていたのである。

そんな魔女の棲家に忍び込む二人の飢えた子供達。グリム童話のもじりのように、家には甘くて美味しいお菓子が沢山おいてある。

古代ケルトから伝わるハロウィンの祭りでも、お菓子が配られる。キリスト教にとって、異端の祭り、ハロウィンでも魔女は暗躍し、お菓子を餌に子供達を狙っているのかもしれない。
開明獣

開明獣