のほほんさん

デビルズ・ソナタののほほんさんのネタバレレビュー・内容・結末

デビルズ・ソナタ(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

たまにあるのだけど、オープニングでなんとなくこの映画は面白いだろうという予感がする事があり、本作がそれ。序盤から雰囲気があった。そして本当に面白かった。

タイトルを見れば何となく何が起こるかは見当がつくし、実際の内容もその予想に反したものではなかった。
それでも面白かったのは、まずは音楽が本格的で良かったからだと思う。伝説的な作曲家の作品としてオーケストラの音楽を用意するのは中々大変なことだろうし、神童のバイオリン演奏も本格的だった(少なくとも素人目には)。

舞台となる古い屋敷は例えルドガー・ハウアー(!)が焼身自殺をしないでも何かしら出ますよね、というくらい不気味。
彼が娘のローズの為に残したバイオリンソナタを弾き始めると案の定悪魔が出てくるのだけれど、それを完璧に召喚する為には楽譜に残された奇妙なシンボルの意味を解読しなければならない、という。そのシンボルは屋敷の色んなところに隠されていて、しかもその隠し方が楽譜の解読のヒントとなる。


天才作曲家の娘のローズはやっぱり天性の才能を持っている。
マネージャーのチャールズもかつては才能を認められた人だったが、今はあくまでもマネージャー業。彼が冒頭でローズに述べた、才能だけではやっていけないという言葉は彼自身の体験から来たのだろうし、ローズの様な更に凄い才能には嫉妬もするだろう。いわばローズとチャールズはモーツァルトとサリエリみたいな関係。そんなチャールズが取り憑かれたように悪魔のソナタの完成に執念を燃やしたのが分かる。


ローズは父から捨てられた事で清純であり続け(逆説的に言うと守られ)、音楽家としてはマネージャーのチャールズに守られて来た。そんな彼女がその二つの守護から離されて奏でる、悪魔を呼び出すソナタの完成版は、ローズ後ろ後ろ!な絵面でありながらも非常に魅力的だった。


主要登場人物が少なく、これじゃ死体が足らんのでは?と思ったのだけど、音楽と謎解きと不気味さで最後まで飽きない作品だった。

また、映画の終わらせ方も良い。
美しさとその後の悪夢を感じさせる終わり。

あまり関係ないけど、チャールズとローズにはかなりの身長差があり、チャールズを見上げながらきゃいきゃい飛び跳ねる感じのローズがかなり可愛かった。

さらに関係ないけど、バイオリン指導にユキ・モリとクレジットされていた。なんかこういうの嬉しい。