豚肉丸

Killing Spree(原題)の豚肉丸のレビュー・感想・評価

Killing Spree(原題)(1987年製作の映画)
4.5
妻が近所の男と不倫していると思い込んだ男が、浮気相手だと思われる男たちを次々に殺していくお話

まさに典型的な80年代のSOVスラッシャー映画。肝心なゴアの数があまり多くなかった点は少し不満点だが、期待を遥かに超えた面白さに大満足。
中盤までは展開も殆ど無く、かなり退屈でダルい時間が続く。映像も16mmフィルムの安っぽい映像であり、SOVホラーとしては当たり前だが、安っぽい映像がずっと続くためまあダルい。
ただ、時々入る印象的なシークエンスは面白かった。妻が不倫した挙句化け物に変身し不倫相手の身体を喰らう悪夢や、男の彼女を殺し、彼女の生首を男の頭にぶつけて殺す場面などは面白さと馬鹿さが程よい具合に混ざりあっていて面白い。けど、時々面白いシーンがあるとは言え全体的に見れば退屈...

しかし、50分を過ぎた辺りからその退屈さは一変する。これまでの退屈さは何だったのか、次々に人が残酷に殺され、面白さと馬鹿さが良い具合に混ざりあったテンションでどんどん進み、終盤にはある衝撃的な要素が出てきて物語は幕を閉じる。50分を過ぎてからはノンストップでゴアとコメディが続き全く退屈はしないし、その終盤の要素があまりにも馬鹿すぎてずっと笑えたしで最高だった。
その要素は物語において何の脈略も伏線も無く、突然登場する。闇の儀式とかオカルトっぽい話を出して伏線を張るわけでも無く、本当に突然現れるのが衝撃だった。が、ある意味この要素があったおかげで物語は綺麗に幕を閉じれた。脈略も必然性も何も無いが、意義はある。
ただずっと男が妻の不倫相手だと思い込んだ男を殺害するだけの、物語とも言えないような物語を仕上げる方法としてはぶっ飛んでいるが、最後まで見るとこの展開も最適解のように思えてしまうのが面白い。

安っぽい映像ではあるが、男が妻の不倫を疑った際に背景がライトで包まれ、異様な雰囲気を漂わせる演出はなかなか良かった。これのおかげで男の妄想感、トリップ感がより鮮明になっている。

自主制作感溢れる80年代の低予算SOVホラーなため過度な期待は禁物だが、まさに低予算SOVホラーだからこそ出来るような映画でなかなか面白かった!
豚肉丸

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