信号無視

ブロークン・フラワーズの信号無視のレビュー・感想・評価

ブロークン・フラワーズ(2005年製作の映画)
2.4
2020年11月26日鑑賞 DVDにて

 いつものジャームッシュ作品よりも、コメディ色は薄め。それに、取り立てて映像が美しいというわけでもないし、主演のビル・マーレイにも(僕は)あまり魅力を感じなかったため、ジャームッシュ作品の中ではそれほど好きではない。今作同様にコメディ色が薄い『リミッツ・オブ・コントロール』などは、映画全体から強い緊張感を感じるために映像に引き込まれたのだけど、今作からはそういった緊張感を感じることもなかった。

 「過去のことは諦めて、現在と向き合おう」というメッセージ自体は良いと思う。ただ、そのメッセージに行きつくまでに、もうちょっと面白い撮り様があったのではないだろうか?と思ってしまう。個人的に、ジム・ジャームッシュの作品の魅力は、娯楽性とメッセージ性との程よい調和の上で、オシャレさや映像・音楽の美しさを楽しめるというところだと思っている。
 その点で言えば、この映画は娯楽性の部分が少々薄かったと思う。だから、僕はそれほど肌に合わなかった。

 ひょっとすると、もう少し年を重ねたり、僕がもっとオシャレだったりするとこの映画の魅力は倍増するのかもしれない。ただ、それを勘定に入れても、この映画が他のジャームッシュ作品に勝るとも劣らないという評価はどうかなぁ、と少し思いました。


 あ、黒髪のティルダ・スウィントンはよかったです。くたびれた様子が相俟って、非常に美しかった。
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