中重優

ステップの中重優のレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
4.0
重松 清さんの同名小説「ステップ」が原作。
妻に先立たれた父と娘の10年間を描いた作品。

妻が亡くなった1年後から物語は始まります。
物語が進むとわかってきますが、
主人公は優秀な営業だった様ですが、
娘の送り迎えなどを考慮して
総務部へ移動したみたいです。
フレックスタイム制なのはありがたいですよね。

奥さんが亡くなった時についた赤ペンの跡が
劇中ずっと残っているのが
"大切な奥さんの事は忘れてない"という
気持ちの表れの様に思えました。

山田 孝之さんと娘役の俳優さん達との
接し方があまりに自然過ぎて、
一種のプライベートな
ホームビデオを観ている様で、
そこに登場してくる主人公の周りの人達は
皆いい人で、
人との関わりや繋がりが
段々と希薄になってきている現代で
忘れそうになっている事を
思い出させてくれる作品です。

娘の成長、それよって関わり方も変わって、
小さい時は何でも考えなしに話してくれて
気持ちを理解できた事が、
成長すれば当然気持ちを隠す事を覚えて、
わからなくなっていく、
いつまでも後ろ向きではいられず、
前に進もうと思うけど、
やっぱり大切なのは娘で。
という様な複雑な心情をとてもわかりやすく
表現してくれています。

自分に何がご縁があって、
子供を授かる事があれば、
「子宮に沈める」と同様に
もう一度観直したいと思う作品でした。
中重優

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