ひろぽん

ステップのひろぽんのネタバレレビュー・内容・結末

ステップ(2020年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

30歳という若さで妻を亡くし、シングルファーザーとなった男・健一と娘の美紀の奮闘や、彼らを取り巻く周囲の人々のハートフルな10年間を綴った物語。


30歳のトップ営業マン・武田健一は、結婚して3年、一人娘の美紀もまだ2歳半という時に妻に先立たれたシングルファーザー。そこから「再出発」をするべく育児に奮闘する10年間を描く。

子どもが小さいという事もあるが、性別が異なるということも少なからず育児の大変さに影響している気がする。

働き盛りで仕事でも結果を残していた健一が、育児にも時間をさける部署に異動するも周囲に迷惑をかけていると責任を感じ、また忙しいことを理由に娘とちゃんと向き合えていない事に直面するシーンは、仕事にも育児にも追いこまれて見ていてつらかった。

今作は全部で6つのパートから構成されている。

○1章
保育園に通わせ育児と仕事に奮闘するも疲弊してしまい、父親ではできないことに直面し、向き合っているつもりだったのに忙しいことを理由に娘と向き合えてないことを知る。

○2章
小学1年生になり子育てのピークを超えて生意気なことを言うようになった娘の成長に喜びを感じるも、「母の日」の似顔絵の課題で母親のいない娘にどうやって似顔絵を上手く描けるようにできるかを考える。

○3章
小学3年生になった娘と母方の祖母の家に帰省し、健一がいつまでも母方の家族に甘えていいものなのか悩む。

○4章
子育てに余裕ができ、営業部に戻った健一が妻の死から8年で心を許せる人と出会う。

○5章
健一の恋人となった奈々恵との関係に頭では理解しているも、身体と気持ちが追いつかない美紀との心の距離を感じ、大きな壁にぶち当たる。

○最終章
病によって死期の近い義父との関係や、小学校卒業を間際に控えた美紀と奈々恵との関係を中心に成長を見せていくラスト。


今作は泣けるポイントが多いが、1番感動したシーンは保育士で登場した伊藤沙莉演じるケロ先生の熱い思いを語るシーン。普段明るい振る舞いだからこそギャップがあって涙が止まらなかった。伊藤沙莉が完全に女優というより保育士にしか見えなかった。登場シーンは長くないものの、圧倒的な存在感が凄く印象に残る。

伊藤沙莉をはじめ川栄李奈も広末涼子も余貴美子も女優陣のキャスティングは演技が上手い人ばかりでとても素晴らしかった。

また、個性強めの山田孝之が完全にどこにでもいそうなお父さんにしか見えないのが本当に凄い。そのおかげで人の家庭を垣間見ているかのような感覚になり、思いっきり感情移入して感動してしまった。

成長段階に合わせて登場させた3人の子役も変に生意気で演技が上手くてビックリ!

邦画はこういうヒューマンドラマがやっぱり面白い。そして、次々に押し寄せる育児の壁がどれもつらすぎる。片親で子どもを育てるのは本当に大変なんだと感じた。

感動したい時や、人の温かさに触れたい時にオススメの作品。心がホッコリする傑作。
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