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T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版のTAMUのレビュー・感想・評価

3.6
昨年見逃してしまって、周りの評判を知って見ておけば良かったと後悔するなか、完全版の公開を知って、1917を差し置いて来てみましたな本作。

個人的にはロシア本国で大ヒットしたと言う戦争映画の水準を知りたかったのですが。

言ってしまえば、午後のロードショーの枠を出なかったというか、それなりに楽しめたが、ファンタジーの領域に踏み込んでる気もする第二次大戦映画。

なんと言っても、戦車の対決が中心となるなか、戦車内の動きや、距離感や弾道がスローモーションになるため分かりやすい!

そして、民間人が犠牲になることもなく、戦争行為自体の悲惨さに気付かされることなく、善悪の2元論で楽しめる安心設計。

が、裏を返すと戦車の砲弾がどこを走るか見える化したことで、ファンタジー感を高め、ゲームっぽいというか、嘘くさいというか。

戦車と言うと、やはり『プライベートライアン』に見た轟音鳴り響くキャタピラと砲台を向けられる怖さ。そう言う感じや、戦争の不条理に触れることはない。

言わば80年代チャック・ノリスがやってたような、絶体絶命の戦場を勢いで乗り切っちゃう爽快な戦争アクション。

白鳥の湖に合わせて走行する戦車は本作の白眉と思うが、それ以外、音楽が凡庸で悪いこと起きますよー、とか、テンション上げますよーとか、超ベタ。

ぶっちゃけ、ロシア軍人が「自由だー」とか言うの引っかかる。ロシア軍がアメリカンナイズされてる感はちょっと…

もっとロシア映画に求めたいのは、レーニン主義がいかに素晴らしいかとか、スターリンへの忠誠とか。
受け入れがたい世界観を見たかったような、本当にそんなん見たら、やっぱりドン引きするような。

イェガー率いるドイツ部隊も「ハイルヒットラー」とは言わんし、割と世界に気を使ってるような、国際法の範囲内で戦争やってる気もしたし。

そして残念なことにアメリカ映画で多々見たようにドイツ軍のドジっ子ぶりも健在。

ちなみに自分がイェガーだったら、「お前ら変な気起こしたら、他の捕虜の仲間がどうなるか考えろよ」くらいは言うなw

でも面白かったんだよな。良くも悪くも。難しいこと考えないで楽しめるってことでw
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