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アンテベラムのsiのレビュー・感想・評価

アンテベラム(2020年製作の映画)
3.7
面白い
予想外の展開と社会問題をうまい具合に融合させた作品

日本人からすると『人種差別を攻撃的に描いている』とか『新しい差別』とか色々言われてるけど、日本人ってわりかし「白人」サイドにいると思ってる人多いんだよなぁと常々思っている。
自分は「差別されない側」にいると思ってる。
白人に憧れがあって、今でも西洋の白人文化に好意的だからかな?
だからこそアンテベラムのシナリオがあまりに「白人差別」だと言ってる人もいて、黒人を奴隷にして酷い扱いをしてたのは「過去の人間」がやったんじゃなくて私たちと同じ「人間」がやったことで、この「人間」の感情、差別意識は現代でも残っている。
無意識である人から意識的に攻撃する(差別する)人も現実にいる。
それを見ないフリしてこんな白人ばかりじゃないよ!って言えるのだろうか。
現実にcovidの影響でアジア人はボコボコに殴られたりしてる訳だけど、その差別意識は現代の、現実の、人間から生まれてる。

特に海外での生活を経験してたり、海外のニュースを意識的に見てる人以外で、この作品の根底にある黒人としての苦しみの歴史も感じ取ることができる人はどのくらいいるだろう。
日本という島国の人間が、果たしてこの映画を簡単に否定できるのかな。

単純にホラーとしての良さもあるけど、私はプロデューサーが同じと言われているアスやゲットアウトより面白いと感じた。

私たち日本人には想像もできない歴史があって(単に歴史を知っているのと、家族や祖先が差別されてたように直接血の繋がりを感じてる環境ではまた別だと思う)
映画の中で描かれていたように現在においてもうっすらとした差別もあって、
根深い闇と根強い信念を感じる映画だと思った。
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