ぴんゆか

アンテベラムのぴんゆかのレビュー・感想・評価

アンテベラム(2020年製作の映画)
2.8
批判と世相に歯向かう覚悟で書くと個人的には元々"us"、"getout"をはじめとしたジョーダン・ピール監督の映画の作りがあまり得意でなく、大いに息のかかったこの作品もどうだろうと思っていたのだが、こちらは独立した作品として大いに評価されるべきものだと思った。
自分としては取り上げられている人種差別の問題的にもこちらのほうがかなり引き込まれた。

コンセプトはシャマラン監督のvillage(2004)から着想を得たように思えるが、舞台がプランテーションとなっていることで人々の下劣な待遇を目の当たりにさせられる。

日本では日常的に感じることはないかもしれないが、どんな成功者であっても肌の色ゆえに平等に扱われないとは海外でよく聞く話で、また自分も幾度となく経験した事がある。
そのようなことがこの作品の至る所で日常茶飯事的に顔を出すのはなかなか見ていて堪える。
(席が空いているのにわざわざ端の、余りのような席に座らさせられる、キャリアや功績を残していてもビジネスの場で取り合ってもらえない等)

プランテーションの奴隷扱いは全く比にならない酷さでただただ惨いものだが、
これほどの月日を経ても未だに同じ立場に立てない、どれだけ頑張ろうとも人として当たり前に認められない人たちの絶望はどれほどのものかと思った。

ちなみにプランテーションの、綿摘み畑の景色は皮肉なほどに綺麗である。
他人を死ぬまでただ働きさせて作った"王国"はさぞ気持ちいいものだったろう。
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