八瀬

アンテベラムの八瀬のレビュー・感想・評価

アンテベラム(2020年製作の映画)
4.0
公開当初に「タイムスリップもの」と聞いていたような気がする。途中まで「いつ世界が交わるんだ???」と思って見ていたけど、「そういうことか!?」とわかった瞬間に起こっていることのおぞましさが更に迫ってきて最後まで一気に見た。構成が見事。

差別に常に晒されている空気がぞわりと映画から漂ってきて怖かった。奴隷として働かされているシーンはもちろん、ヴェロニカの日常シーンでさえも。
でも恐ろしいのは、これが「あり得ない映画の中の話」ではならないのでは?と感じさせるところだと思う。
過去は死なない。過ぎ去りさえしない。
悲しいことに差別意識を持った人は今この瞬間にもたくさんいる。もしそういった人が力を持ったら?その妄念を実行してしまったら?これは過去の人権意識がおかしかった時代の話ではなく、現代にも起こりうることでは?そんな恐怖をダイレクトに伝えてくる力のある映画だった。
八瀬

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