MasaichiYaguchi

Last Lover ラストラバーのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

Last Lover ラストラバー(2020年製作の映画)
3.7
岡元雄作監督が亡き最愛の母に捧げた本作では、サスペンス・ホラーチックにラブストーリーが繰り広げられる。
作中にある様々な謎、ヒロイン・美優の恋人・光希の死に纏わるもの、ヒロインの周りで起こる凄惨な事件や怪奇現象の数々、これらが終盤で怒涛の如く解き明かされていく。
本作は2つのハリウッド名作映画を思い出させる。
1つは「シックス・センス」、もう1つは「ゴースト/ニューヨークの幻」、ある意味、本作は2作品の“良いとこ取り”をして、邦画のフォーマットに落とし込んでいるように見える。
本作でキーパーソンとなるのがヒロインでもある美優で、彼女が持つ霊感の強さが作品のアクセントであり、物語を牽引するものになっている。
私の周囲には美優のように霊感が強くて“見えてしまう”人はいないように思うが、私も子供時代、遠く離れた場所にいる祖父が亡くなった時にコップが割れたり、夏の夕暮れに遠い空から大きなバルーンが舞い降りてきて、従兄弟と遊ぶうちに何処に飛び去るという不思議な体験がある。
こういう“能力”は持ちたいとは思わないが、本作の美優にも善きにつけ、悪しきにつけ作用して彼女を振り回していく。
予想外の展開の中で解き明かされる様々な謎、そして伏線の回収や監督の思いが溢れた終盤にある、最愛の人に対する思慕と何とも言えない優しさが余韻を残します。