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ウィッシュ・ルームのSSDDのレビュー・感想・評価

ウィッシュ・ルーム(2019年製作の映画)
3.8
■概要
ある夫婦が都会を離れて住んだ田舎の家。
その家で隠し部屋を見つけるのだが、その部屋ではあらゆる物が口に出して願うだけで出現する…。

■感想(ネタバレなし)
寓話的な作品なのかなと思いながらなかなか重たく思ったよりもおどろおどろしい話でかなり好みでした。

等価交換をせずに物を生み出せるように見えたら自分であれば疑うし、まずは出現したものを徹底的に調べるけどなぁ…。

着眼点が面白くどう展開していくか読めない進み方もいいのですが、いかんせんテンポが悪いのが惜しい感じでしたが怪作でした。














■感想(ネタバレあり)
・ビバリウム
物を願うことで出現するが、子供を作り出してしまうということに夫は禁忌だというが葬ることができず、妻は母性から子供を愛し、夫は一人で籠るというビバリウムのような展開は好みでした。
ただ、ビバリウムの方が初めからすぐに壊れていてわかりやすくテンポが良かったため個人的にはビバリウムの方が好き。

・ニーチェ
ジョンドウの時点で部屋から生み出された人間であることはすぐに予測できたが、灰にならない理由がわからなかった。
まさか創造主を殺すことで自由になるという発想は素晴らしい。
この事実を知る事でさらに制約ができて縛られ深みにはまっていく夫婦が痛ましかった。

・シェーンの成長
でかくなったシェーンが可愛かった子供の頃をいきなり置き去りにし過ぎて怖い。
青年になった姿が振り返った時戦慄が走った。それでも母性が勝つのは凄い。
銃向けた時点で中身子供でもやはり憎悪の対象にもなるし、どう転んでも殺すしかないと思う夫と同じように考える。

・ラストシーン
まさに最後は部屋にまだいるのかもしれないという余韻を残すラストは素晴らしい。

私の想像では部屋の中で多層構造で別の世界を作ったのかもしれないし(部屋の内側の世界では自分達の願いを口にしても何も起こらないという安全機構を作ればいい)、またはそもそも部屋の外で普通に暮らしていた世界もまた部屋に造られた世界だったのかもしれない。

・総評
途中の展開で子供があまりにも恐ろしくてゴア表現があるスプラッタなんかよりよほど怖かった。
何考えてるかわからない、どんな残忍な創造をするかわからない子供という敵は未知すぎて恐怖だった。
ペンローズステップやら、半分に切れたゴッホを飾るとか細かな部分にもセンスを感じれたしなかなか面白い作品に出会えました。
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