むらむら

キラーソファのむらむらのレビュー・感想・評価

キラーソファ(2019年製作の映画)
5.0
「これソファじゃなくてアームチェアだよね!」

と思いながら映画館で鑑賞した「人を襲う殺人ソファ」の話。

客席は全員「デッド寿司」とか「シャークネード」とか観ている層で、謎の一体感があった。

このソファ、ポスターだと怖そうなイメージだけど、実際はNHKの「どーもくん」が座ってるようにしか見えない。

そして、とても可愛い。

以下、如何に主人公のソファくん(勝手に名付けました)が可愛いか……の描写が続くので、読みたくない人は読まなくて良いです。

この系統のキャラって、「どーもくん」の他にも有名なのいるじゃないですか。スポンジボブとかヌリカベとか片桐はいりとか。でも、ソファくんは、その佇まいだけでなく、飼い主に対する態度も愛くるしい。まぁ、元々ソファだから、ってのもあるんだけど、例えば……

・見てないうちにクッキーを美味しく焼いてくれる
・主人公が外出するとベランダから見送ってくれる
・火事にならないよう、マッチの火を消してくれる

どうですか、この家政婦ばりのサービス精神。こないだ、イラン映画「別離」で、認知症の爺を置き去りにして外出する非道い家政婦を観たばかりだったから、「ああ、イランにもソファくんが居てくれたら……」と本気で考えちゃいました。

擦れっ枯らしのホラーヲタ(俺)は、「どーせ、ソファに座ってるところを、縛り付けたり挟んだりして殺すんでしょ?」なんて想像するんだけど、そんなの遥かに超えてくれるのも、ソファくんの良いところ。

・後ろからにじりよる
・男の寝室に忍び入る
・他人の家に出張する

などなど、基本的に攻めていくスタイル。

寝室なんて、ベッドの領域だよね? ズケズケと他人(※ベッド)のテリトリーに乗り込んでいく自己主張の強さも猫みたいで可愛い。

加えて、主人公の女の子が、ソファで淫らな妄想をしてるときには、静かにしているのに、男が寝室のベッドでオナニーしてたら、出張してブチ殺しにいくのも、男なら誰もが共感できるソファくんの長所だと思う。世の中のモテない男子(俺)としては、空気の読めるソファくんに、女子との同棲で上手くいく方法を伝授していただきたい。

と、ソファくんが魅力的すぎて、ソファくんの話だけでページ数が尽きてしまった。

とにかく、家にソファ(か、アームチェア)がある人は必見。ソファを労ってあげたくなります。

あ、同じニュージーランド制作の「ゾンビ・ホロコースト」の主役ハゲ(ハーレイ・ネヴィル)が出演してると思って期待したけど、冒頭ちょこっとしか出てこなくて残念。

他にも、「台所のシンク越しに、他の家と会話って出来るんだっけ?」とか「『エクソシスト』立ち位置の爺さん、全く役に立ってなくね?」とか「結局、やたら心霊現象に詳しいYouTuberの顔が一番怖かった」とか、指摘したいことは多々あるものの、やはりこの映画の魅力はソファくん。

これはホラーの皮を被った愛玩ペット映画。「名犬ラッシー」を鑑賞する気分で観に行きましょう。
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