るるびっち

ブレイブ 群青戦記のるるびっちのレビュー・感想・評価

ブレイブ 群青戦記(2021年製作の映画)
2.6
リアルな『ホームアローン』を見たいだろうか?
リアルにやれば、留守番している幼児は惨殺される。
玩具で足を滑らす強盗は、間抜けなお人好しだから成立するのだ。

各種競技エリートの高校生たちが、タイムスリップして戦国時代で戦う。
だが優秀なボクサーが居たところで、長槍で突かれれば終わりだ。
クラブ活動では殺傷能力のある武器を持てないので、まともに戦ったら殺される。向こうは刀・弓・槍を持つ戦闘集団なのだ。
『戦国自衛隊』とは違う。リアルにやったら悲惨しかない。
だから、ホームアローン的な楽しみ方が妥当だと思う。
ドミノ倒しでスイッチを入れて敵陣炎上みたいな、ピタゴラスイッチでユニークな戦い方でしか面白みは無い。
そこにこそ現代っ子の知恵が生きる。むしろ高校生が戦国に行く利点は、そこしかないと思う。
なのに何故か真面目に戦って惨殺される。企画の方向性が間違っている。

方向性が間違っているのは、主人公真剣佑の扱い方も同様。
よりにもよって、真剣佑にウジウジキャラをやらせたので1時間経っても戦わない。宝の持ち腐れ。
前半何もしないのだから、スーパーサイヤ人からスーパーサイヤ人ゴッド まで、何段階ものパワーアップで取り返すように戦ってもらわないと割が合わない。

リアルで悲惨にした狙いは、闘うことを空しく思っていて本気になれない主人公に火をつけてガムシャラにすることだろうか?
だとしたら、仲間の犠牲が多すぎる。
それに、戦国に行った時点で本気でないと生き残れないと自覚したはずだ。仲間が死んで初めて気付いたのなら鈍すぎるし、むしろリアルじゃない。リアル設定にして、逆に心理が嘘臭くなっている。

エリートではなく、諦め癖の弱小高校生たちが、諦めたら死ぬ世界で初めて本気になり知恵を絞って生き抜く。闘いに目覚める。
現代に戻っても、諦めずにぶつかることを覚えて弱小ではなくなるというのが、戦国に行く意味だろう。
アイデアだけで、方向性が迷宮にはまっている。

というわけで、客が何を求めているかを理解しない企画倒れの話。
この手のキワモノに、一番肝心なセンスがまったくない。
作り手一同、切腹した方が良い。
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