ぐり

老後の資金がありません!のぐりのレビュー・感想・評価

老後の資金がありません!(2020年製作の映画)
3.7
主人公に降り掛かる様々なお金に関する災難(親の葬式・娘の結婚・義母との同居・オレオレ詐欺・失業など)がどれもリアルで良かった。特に葬式代の話は大変勉強になった。葬儀社と棺桶等を決めるシーンでは若干盛っているように感じたが、一緒に観ていた(かつ最近祖父が亡くなり葬式の段取りをした)母曰く本当(リアル)らしく、葬式代はこんなに費用がかかるのかと驚いた。

しかし、お金のリアルを描いて主人公の貯金が笑えないほど減ったにも関わらず、最終的には簡単に解決(ハッピーエンドに)してしまうラストがとても残念だった。家を売ってシェアハウスに住むという決断をしたことで資金は確かに増えたけど、そうでもしないと安定した資金で楽しく暮らせないようにも捉えられて、あまりリアリティがないなと思った。"コミュニティが大切"ということには共感できたけど、少なくとも私は、そう簡単に家を売ってシェアハウスに住むという決断はできない。また、"老後の資金"のことを考えると、根本的には何も解決していないのでは?と感じた。

今作でかなり救いだなと思ったのは、登場するどの夫婦もみんな仲睦まじかったこと。そして天海祐希演じる主人公の篤子が寛大な心を持っていたこと…😮‍💨松重豊演じる章は一見優しい旦那のように見えるが、父親として、また息子として特に何もしてなくて私が奥さんだったら無理だなと思った。お金の話は慎重に考えるべきなのに、なんとかなるでしょと軽く考えているところや、ただでさえお金がないのにお義母さんの資金援助を簡単に承諾してしまうところなど、なんでそんな無責任なの?と不快に感じてしまった😮‍💨自分の母親のことをほとんど奥さんに任せていたけれど、本来ならば息子である貴方が1番に親の今後を考えて行動すべきなんじゃないの?😮‍💨

そもそも"老後の資金がない"という事実をコメディとして扱うこと自体、私はあまり好みではなかった。「PLAN75」のように笑えない話にしたほうが真面目に老後や終活について考えることができて良かったと思う。前半でお金の話をリアルに描いていたので、尚更リアリティのないハッピーエンドとして片付けてしまったことが残念だった。まァ、老後や終活について考える"きっかけ"として、気軽にどうぞって感じかな。この映画を笑って観れる人はまだ平和だと思う。私の母は「回覧板で回したいくらい良かった」と言ってたけど…🙃最後に、世の中の"姑/舅と暮らす奥さん/旦那さん"たち、本当にお疲れ様です…😮‍💨
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